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「カープ女子とか、どうせマスコミが騒いでるだけでしょ?」→実際に見に行った結果

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.06.18 15:48
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「カープ女子」なる言葉がマスコミでもてはやされている。地域を問わず広島東洋カープを応援する女性が増えていることから名付けられた。
一時は首位だったチームは交流戦に入って負けがこむようになり、現在は2位。2014年6月15日の試合で10連敗を阻止したものの、3位阪神タイガースとの差は0.5ゲームしかない。

チームが苦境にあえぐ時期、アウェイの試合にカープ女子はどれくらい応援にくるのだろうか――12日、プロ野球交流戦・広島-西武3回戦が開催された西武ドーム(埼玉県所沢市)に筆者は訪れた。

写真はすべて編集部撮影

写真はすべて編集部撮影

アウェイでもカープ応援団が圧倒

カープの対戦相手の埼玉西武ライオンズは12日時点でパ・リーグ最下位。1979年のチーム創設以来最大の危機にあるといっても過言ではない。こういうときこそ球場に駆け付けるのが真のファンなのだが......平日夜の3塁席(ホーム側)は人が少なかった。池袋駅から電車で40分ほどかかる場所に立地しているから仕方ない面もあるとはいえ、寂しい光景だ。弱いライオンズを見たくないというファンも多いのだろう。

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これに対してカープ側の1累席はゲーム開始前から結構な客が入っている。ファンの勢いは圧倒的にカープが勝っている!

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西武ドームで真っ赤なユニフォームを見る機会はめったにない。目の錯覚とはいえ、同系色の販売カーや売店までカープを応援しているかのよう。

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制服姿で応援に駆け付けたカープJK

女性ファンが誰のユニフォームを着ているのかチェックすると――圧倒的に多いのが「MAEDA」。背番号1は昨年現役を引退した前田智徳。下の写真はそのユニフォームをまとった女性たちの後ろ姿だが、よく見ると制服の上から着用している。広島から応援に駆け付けたとは考えにくい。

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堂林翔太内野手(7番)や菊池涼介内野手(33番)といったイケメン若手選手のユニフォームを着ている人もちらほら見かけた。

背番号24は河内貴哉投手。

背番号24は河内貴哉投手。

西武ドームに響く赤いヤジ!

試合は2回と3回にライオンズが1点ずつとり2-0と先行したが、4回表にエルドレッドが本塁打を打ち、その打球はカープ応援席に入った! 下の写真は数秒後の様子を捉えたカットだが、ファン同士が手を叩きあって大喜びしている。

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カープファンは中年以上の男性がまだまだ多かった。西武ドームでは耳慣れないヤジもしばしば飛んだ。

3年前も同じカードを同じ場所で観戦したのだが、そのときより若い女性が増えているのは確かだ。ただし1人観戦はまれで、同性によるグループまたは恋人同士、夫婦、ファミリーがほとんどだった。他人に影響されたのか、それとも周りを巻き込んでいったのか......。

応援歌がこだまし、風船が乱れ飛ぶドーム内

応援歌がこだまし、風船が乱れ飛ぶドーム内

その後試合はライオンズが7回裏に2点入れて突き放したものの、8回表にカープが3点入れて4-4の同点に追いついた。興奮したファンは立ち上がってガッツポーズ。ムードは最高潮に達した。

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8回で帰るライオンズファン、残るカープファン

ところが、その裏にライオンズは2年目の金子侑司内野手が2塁打を打ち、5-4と再びライオンズがリード。
ここで驚くべき光景が。勝利を確信した3塁側内野席のライオンズファンは8回終了直後からぞろぞろ帰りだしたのに、1塁側はゲームセットまでほとんど誰も席を立たなかった。まるでホームとアウェイが逆転したかのようだ。

9回表はライオンズの守護神・高橋朋己投手が3人で締め、カープは惜しい敗戦。チームは7連敗となり、ファンのうっぷんがたまっているのかと思いきや――「負けたけど、いい試合だったよね」「また応援頑張ろう」という声があちこちから聞こえた。

球場を後にするファン

球場を後にするファン

負けに慣れているわけではないだろうが、野球を純粋に楽しみ、しかも詳しいカープファンが多い印象だ。例えばライオンズのホームラン打者・中村剛也が打席に入って大きなスイングをしたとき、素直に感動の声を上げる。

近くにいた30代くらいの女性は荒々しい声を出していた。

「(捕手が)へたくそなんじゃ!」
「(ホームランを打ったライオンズの打者に対し)あれ、入っちゃうの......打ちやがったな!」
「ダブルプレー!しょっしゃー!!」

連れの人に対する彼女の解説も詳しく、知識の豊富さに舌を巻いた。イントネーションからして広島弁っぽい。

みのもんた「カープファンは日本人の心」

かつては金満球団だったライオンズ。しかし、親会社の西武鉄道による有価証券報告書虚偽報告が2004年に発覚して以降、すっかり貧乏球団になってしまった。フリーエージェントで有力選手は流出する一方で、生え抜きによる戦力底上げでチームを強化している。ジャイアンツや福岡ソフトバンクホークスとは対照的な球団経営だ。
そんなライオンズにとって、創設当時から生え抜き主義を貫き、今やセ・リーグ随一の戦力を誇るカープは「理想のチーム、お手本」といっていい。

翌日、文化放送で同じカードのラジオ実況中継があった。ゲストはあの「みのもんた」。「ライオンズナイター」と銘打っているだけに西武寄りの内容なのだが、みの氏は「カープファンは最後まで誰も帰らない......すごい! チームを応援する熱い気持ちが伝わってくる。これぞ日本人の心だね」などと絶賛していた。文化放送のゲストとして呼ばれたことを考えると苦笑してしまったけれども、彼は素直に感動していた。

そういえば、ライオンズのユニフォームの上にカープのユニフォームを着る男性を球場で見かけた。実に妙な組み合わせだったが、よくよく考えると「パ・リーグは××ファンだけど、セ・リーグはカープを応戦する!」という人が交流戦を通じて増えるのではないか――そんな予感がする。

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