ココからあなたの
都道府県を選択!
全国
猛者
自販機
家族
グルメ
あの時はありがとう
旅先いい話

標高3メートル「日本一低い」日和山ってどんな場所?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.04.10 18:01
0

日本一高い山といえば誰もが知っている富士山だ。どこかの場所でより高い新山が形成されたり、富士山が大きく崩れたりしない限り、その順位は変わらない。

ところが、日本一低い山というのはなぜか順位が入れ替わっている。2014年4月9日に国土地理院が発表したところによると、仙台市宮城野区にある「日和山(ひよりやま)」(標高3メートル)が18年ぶりに日本一低い山に認定された。

仙台市宮城野区の日和山(ブログ「みんなでエコ in みやぎ」より)
仙台市宮城野区の日和山(ブログ「みんなでエコ in みやぎ」より)

2番目に低い天保山。でも山岳会がある

それまで日本一だったのは、大阪市港区の「天保山(てんぽうざん)」。自然がつくった山ではなく、江戸時代後期、大阪湾に注ぐ安治川の工事で生じた土砂を積み上げて生まれた人工の「築山」だった。当初は20メートルほどの高さがあったが、削り取られたり地盤沈下で土地そのものが下がったりしたため、現在の標高は4.53メートルに落ち着く。

天保山頂(Gomurafujiさん撮影、Wikimedia Commonsより)
天保山頂(Gomurafujiさん撮影、Wikimedia Commonsより)

天保山付近は「ベイエリア」として人気の観光スポットになっているが、公園の敷地内にある山は古墳みたいにぽこっと盛り上がっているわけではない。山頂は周囲の展望台よりも低くなっていて、ただ碑があるだけだ。

1993年に地形図から山名が抹消されたが、地元の人の要望によって3年後に再掲載されたという歴史がある。近所の人が結成した山岳会があり1枚10円で登山証明書も発行してくれる。大阪らしい、茶目っ気にあふれたサービスといえる。

日和山が1位に返り咲いた理由

天保山が地形図から抹消されていたあいだ日本一低い山に認定されていた日和山は、仙台湾に面した場所にある。こちらも明治後期に作られた築山で、以前の標高は6.05メートルあった。

震災前の日和山(Los688さん撮影、Wikimedia Commonsより)
震災前の日和山(Los688さん撮影、Wikimedia Commonsより)

天保山が再び日本一になって以降は「元祖 日本一低い山」と称されてきたが、東日本大震災で状況は一変する。地盤沈下と津波の二重被害を受けたのだ。山は消滅してしまったと思われ、新聞でもそのような報道がなされたが、このたびの国土地理院の調査により存在を確認。標高が3メートルほど減ったこともあり、再び「日本一低い山」に返り咲いた。

日本人は古来から「山には神が宿っている」と信じていて、日本最高峰の富士山や奈良県桜井市の三輪山などは霊峰としてあがめ祀ってきた。東京には富士山から持ち帰った溶岩をもとに造営された高さ8~10メートルほどの富士塚が今も残っている。歴史的背景と大きさは異なるけれども、人工的に作ったものも大きさに関係なく山として扱う、という文化は日本ならではかも。

PAGETOP