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7人の美人初嫁が男根にまたがり晴天の大空へとわっしょーい! 新潟「ほだれ祭り」

織江賢治(おりえ・けんじ)

織江賢治(おりえ・けんじ)

2014.03.26 12:30
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全国の奇祭をご紹介するこのコーナー、4回目は3月9日に開かれた「ほだれ祭り」をご紹介しましょう。

「ほだれ」とはそもそも稲穂がたわわに実って頭を垂れる「穂垂れ」を意味するのですが、豊作を祈願してこの地で信仰されてきたのが巨大な木造の男根像「ほだれ様」。

画像:すべて織江賢治が撮影

画像:すべて織江賢治が撮影

そう! ほだれ祭りは、みなさんお待ちかねのチ●コ祭りなのです。しかもその年度に結婚した初嫁をこのほだれ様の上に乗せて、みんなで担いでワッショイワッショイするんですよ! ステキでしょ?

といっても不思議なもので、チ●コといえど猥褻や卑猥な空気は一切なし! むしろ開けっぴろげにすることで笑いの対象になっていて、それでいて老若男女に愛されている、非常に真面目なお祭りです。

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豪雪地帯の陽気な「チ●コ」祭り

場所は新潟県の長岡市(旧栃尾市)下来伝地区。行き方は長岡から栃尾車庫行きのバスに乗り、そこからさらに栗山沢行きのバスに乗り換えるんですが、バスは双方とも本数が少ないので注意が必要です。僕の場合は長岡駅大手口8時30分発のバスに乗り、栃尾車庫からはタクシー(2500円ほど)で向かいました。

9時50分頃、下来伝に到着すると、すでに長い駐車の列が出来ていており、早くも期待が見え隠れ。こんな手作りの看板も立てられており、非常にそそります。

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でも、まずは祠におわすほだれ様にご挨拶。長さは1.5メートルほど。立派にそそり立っています。

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その周りには小さいサイズのほだれ様がいくつも。黒いものは先っちょがツルツルに磨かれています。なお、ほだれ様は岩手県の遠野のほうでは「コンセイサマ(金精様)」と呼ばれています。

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ついでに屋台に顔を出しますと、なにやらチ●コ型のボールペンや、チ●コ飴などが販売。しかも美人のお姉さんが売っているじゃあーりませんか!!

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実は彼女は国際ボランティア学生協会(IVUSA)の女の子。こういった祭りを地域の力だけで運営するとなると、若者の数が圧倒的に足りなくて開催できないのが現状で、そのため彼女たちのようなボランティアが運営を手伝っているんです。

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集落の老若男女がほだれ様をお出迎え

そうこうしていると、どこからかトトントントン、ぶぉぉぉ~んという音が......。 太鼓と法螺貝のリズムに合わせて「商売はんじょ~、家内あんぜ~ん」と声を張り上げるこの集団は「大数珠繰り」といって、長~い数珠の先にあるヒラヒラを頭にかざし、病気平癒や厄除けを祈願して周っているのです。

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大数珠繰りは集落を練り歩き、出迎える方々みんなにヒラヒラ。お年寄りだって笑顔でこの通り。集落の人たちがこの祭りを楽しみにしていることが伺えますよね。

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11時。大数珠繰りが終わった頃合で、いよいよ祭りがスタートします。まずは神主の佐藤さんに先導され、男衆に担がれた重さ200キロの注連縄(しめなわ)が登場。ほだれ様の横にある大杉の注連縄を交換します。

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初嫁「またがるのが夢だった」

それが終わると神事である「清殿式」と「献撰の儀」。一同しんと静まるなか、佐藤神主が「かしこみ~かしこみ~」と集落の発展や参加者の健康などを祈願していきます。

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その後に登場するのが、この祭りの主役である初嫁さん。今年はこちらの7人です。

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初嫁さんによる自己紹介、そして鏡開きを終えると、参加者にはお神酒と榊の葉が振舞われます。

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それが一段落すると、いよいよほだれ様の"出陣"。なんせ重さが600キロ。慎重に社からおろしていき、下で待ち構えている400キロの台座に合体。

さぁいよいよクライマックスです! ぶぉ~ん、ぶぉ~んと開始を告げる法螺貝の音。ドドンドンドンと囃し立てる太鼓の音。
まずは3人の初嫁さんがほだれ様の上に乗り......

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そーれ! わっしょーい!!

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続いて4人の初嫁さんもわっしょーーーーい!

合計1トンにも及ぶほだれ神輿は周囲を一周して初嫁さんの子宝・安産を祈願します。それにしても初嫁さんも、担ぎ手もみんな笑顔。場内では進行役の方が

「大いに写真を撮ってください!」
「ほ~ら、揺さぶらないと子供できないよ~!」

とマイクパフォーマンスで笑いを取っておりました。

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さらに女性を片っ端から担ぎ上げ、ボランティアの女の子も、すでに子持ちの若ママもわっしょい! 会場は興奮のるつぼと化しておりました。

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ただし、この後13時53分にバスが通るため、急いで一旦撤収(笑)。ほだれ様を再び社にお運びし、最後に初嫁さんが富くじを撒いてお祭りは14時過ぎに終了となります。なお富くじの1等は米俵!!

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帰り際、今年の初嫁さんである坪井円香さんと、夫の裕章さん夫妻にインタビュー。2人は栃尾の病院で働いていたときに知り合ったそうで、円香さんはなんと、ほだれ様にまたがるのが子供のころからの夢だったそう。わっしょいされてる感想を聞くと、「最初は高かったけど幸せな気分でいっぱいでした」と答えてくれました。ちなみにお子さんは2人欲しいそうです。

お幸せに!

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さて、帰りはというと、実はさきほどのバスが栃尾車庫行きの最終バス。ということで、別の路線が合流するいずみ苑のバス停まで2キロ歩きました。

景色がいいので歩くのは苦にならないと思いますが、いずみ苑には15時5分までに着かないと、さらに4キロ歩くか1時間半待つか、タクシーを呼ぶかの選択に迫られますので、みなさん来年行く場合は注意してくださいね。

【ほだれ祭り】
日時:毎年3月第2日曜日
時間:11時~14時過ぎまで(大数珠繰りは10時頃より)
場所:新潟県長岡市来伝617(下来伝公民館 )

今回の筆者:織江賢治(おりえ・けんじ)

1975年愛知県生まれ、茨城県在住。出版社勤務を経て現在フリーの編集者・ライターとして活動。雑誌やムックを中心に執筆や編集を行う。プライベートで全国の鉄道の駅とその周辺を歩く「駅鉄活動」をライフワークとし、それが高じて各地の祭りや風習、珍スポット探検なども行っている。今までに行った祭りは200以上。

【バックナンバー】
[第1回]新郎を雪上に投げ飛ばす! 新潟の奇祭「むこ投げ・すみぬり」
[第2回]ふんどし男のケツにウホッ! 千葉・匝瑳市「冷水ぶっかけ裸祭り」
[第3回]燃える雛人形、女神輿は弾み、ブラジャーが奉納される! 和歌山市「淡嶋神社の雛流し」

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