「湘南小学校」が海岸ではなく相模原の山奥にある意外な理由 幻の「湘南村」とは...
湘南の名前の由来は?
湘南の名前の由来は諸説ある。有力なのは、中国の湖南省の景勝地から取られ、「相模国の南部地方」=相南に引っかけているという説だ。大磯には「湘南発祥の地」なる碑が立っている。江戸時代の詩文の中には相模川を「湘川」、相模湾の浜辺一帯を「湘江」と表現するものが見られるという。昔の人も「湘」の文字がオシャレそうだから使っていたということか。
湘南小学校に話を戻すと、立地している場所の西北から東南に向かって相模川が流れている。相模川=湘川とするなら、湘南という名称も理解できる。
ところで、近代的なリゾート地としてのイメージが全国に広まっていったのは、作家・徳富蘆花の影響があるといわれている。蘆花は1897年に逗子に転居し、「湘南雑筆」なるエッセイの執筆に着手する。翌年国民新聞紙上で「湘南歳余」として発表、さらに1900年にはエッセイを含む本「自然と人生」を出版した。当時としては爆発的に売れたこの書籍が、湘南の名を全国に広めるとともに、現在のような「湘南=相模湾沿いのリゾート」という印象を確立した。それ以降、鉄道会社、学校の名前などに「湘南」の名前が次々に採用されるようになった。
2002年ころ、平塚市、藤沢市、茅ヶ崎市、寒川町、中郡大磯町、二宮町の6市町が合併して「湘南市」を新設する動きがあった。結局実現しなかったが、その範囲に「湘南村」は含まれず、それどころか海に面していない相模原市の一部になってしまったのは興味深い。