関西か中部か、三重は食文化まで「どっちつかず」
中部なんだか関西なんだか、よく分からないポジションにあるのが三重県だ。2014年1月23日放送のバラエティ番組「秘密のケンミンshow」は、そんな三重の実態を番組内ドラマ「辞令は突然に...」で取り上げた。
1府5県に囲まれた三重は、南北約180キロの細長い県だ。北勢、中勢、伊賀、伊勢志摩、東紀州と5つのエリアに分けられ、風習や文化が地域ごとに微妙に違う。
このうち東紀州は江戸時代に紀州藩だったのだが、廃藩置県を経て三重に組み込まれた。県庁所在地の津市よりも和歌山県南部の中心都市新宮市の方が近く、和歌山の文化が色濃い。
忍者のふるさと伊賀も昔は別の「国」だった。江戸時代は伊勢津藩の一部として組み込まれたが、大阪上本町駅を起点とする近鉄大阪線が開通すると、今度は関西方面のベッドタウンとなり、大阪弁が幅をきかすようになった。
味は東と西のミックス?
北勢と中勢は関東と関西の文化が入り混じる地域であり、境目にもなっている。それは食文化や言葉に色濃く表れている。
番組が2010年10月に「カレーに入れるお肉の境目は?」という企画を実施したところ、桑名市近辺の木曽三川(木曽川、長良川、揖斐川)を境に、「東」が豚肉で「西」が牛肉だった。
一方うどんの「つゆ」は、関西風の薄口しょうゆに関東風の鰹節(かつおぶし)の出しを加えているという。
また、接続詞「だから~」は、関西弁が「せやから」で、名古屋弁が「だもんで」、そして三重の人は「せやもんで」と話すそうだ。
伊勢うどんは関東人もビックリの黒さ
番組の内容は以上のとおりだったが、伊勢神宮近辺で広まっている「伊勢うどん」は、関西・関東風うどんだけでなく、名古屋のきしめんとも異なる。タレ(つゆ)は濃厚なたまりじょうゆで真っ黒だ。
西日本と東日本の文化が入り混じり、その中に独特なものが生まれる――三重の不思議は尽きない。