広島県内で活動するNPO 周囲の期待と資金繰りの悩み
[テレビ派‐広島テレビ] 2013年11月27日放送の「特集」コーナーで、広島県内のNPOの悩みを紹介していました。呉市安浦町の川沿いにある「BROTO]は、昨年4月にオープンしたNPO法人「地域ネットくれんど」が運営するパン屋さんです。
障害者と、彼らの就労を支援する職員が一緒に手作りのパンを販売しています。飛ぶように売れる焼きたてパンには、なじみのお客さんが多くあります。
「週に1~2回くらい利用しています。割と安いので」
「安浦にこういうパン屋さんがあって、すごく助かるしパンもおいしい」
NPOの活動開始から今年で10年。話題性もあり地域にとっても欠かせない存在ですが、台所事情は火の車で、厳しい運営状況に置かれています。

国や県からの補助金に期待
店を仕切る地域ネットくれんどの大木紀子さんは経理を担当していますが、料理の腕前も高く、昼のバラエティ番組で「レシピの女王」に輝いた経歴があります。料理の腕前を買われて、パンも作ります。
大本さんの父親でくれんどの代表理事の小河勉さんは、「地域の役に立つということでパン屋を開いてみようと始めたが、(今では)福祉的就労の場ということで何とか運営しているのが現状です」とその苦労を語ります。
2003年に活動を開始したNPO法人くれんどは、障害者が集う「オープンハウス」を呉市で運営しています。利用者が年々増え続け、希望者を収容できない状況が続いたため、建物の増設を行いました。
しかし、NPOへは国や県から補助金が出ないため、6000万円もの費用はすべて自己資金とローン。代表理事の小河さんは、
「国のいろいろな政策にも『第3の公共』としてのNPOへの期待は大きいと言われていますが、もっと育ててくれる政策をしてほしい」
と話しています。
収入源の9割以上が介護報酬では苦しい
広島県が認証するNPO法人は825ですが、資金繰りが厳しく137団体が解散。しかし県はNPOへの補助金についても慎重な態度です。
広島市立大学の金谷信子教授は、「自発的にやった活動なのだから、資金・人材すべてを自前でやってくださいというのは、(活動を)継続させていく上では非常に危険です。私たちの持っているセーフティネットが傷んでいくことにつながるのではないか」と懸念を示していました。
くれんどの事務所では、収入源の9割以上が「介護報酬」という現状で就労支援を充実させるには、職員の収入を削って経費を捻出していくしかありません。ボランティアになると収入も入らないし、運営は厳しいと話します。
地域にとって必要な存在としてNPO活動を支えていくためにも、一緒に考えていく必要がありそうです。(ライター:いろはもみじ)