町役場「白骨遺体が見つかりました。死後100年。心当たりの人探してます」
「行旅死亡人」という言葉をご存じだろうか。本人の氏名や住所が判明しないなどの理由で、引き取り手がいない死者のことを、こう言うらしい。その多くは遭難者だったり、自ら命を絶った人だったり、いわゆる「行き倒れ」になったひとだったり......。「行旅死亡人」は、死亡推定日時、発見された場所、所持品などを明記し、市町村長名義で官報で公告される。ところがそんな「行旅死亡人」に、少し毛色の変わった方がいた。
今日の官報 pic.twitter.com/hWZldVDNII
— じゅん (@doublemachen) 2015, 3月 19
「本籍・住所・氏名・年齢不詳の男性、所持金品は六文銭、陶器片 上記の者は、平成26年12月11日の午前10時15分頃、高根沢町大字宝積寺内の造成工事現場から白骨化した遺体で発見されました。死後100年以上経過したと推定されます。 身元不明のため、遺体は火葬に付し、遺骨は保管してあります。心当たりの方は、当町健康福祉課まで申し出てください」
この官報は、2015年3月19日、栃木県塩谷郡高根沢町長名義で出されたもの。「本籍・住所・氏名・年齢不詳の男性」で、所持品は六文銭と陶器片だけだったという。白骨化した遺体で発見され、死後100年以上経過したと推定される、と記されている。
死後100年以上と推定されるということは、大正初期、あるいは明治時代の遺体ということになる。官報には、「心あたりの方は、当町健康福祉課まで申し出てください」とあるが、心あたりの人がはたしてどれだけ生存しているのか、いささか心配だ。
年代の古い遺体の場合、市町村によっては、死亡推定日時を「戦国時代から明治時代初期」などとする場合もあるらしい。戦国時代の遺体を官報で知らされても、心あたりの人はいるのだろうか。
上記のツイートには、次のようなコメントが寄せられている。
@doublemachen @Opppppt 100年以上前で六文銭といったら、こっそりと荼毘にふした仏さんじゃないの?
— DJ (療養中) (@dj1wrsp) 2015, 3月 20
六文銭持ってたということは埋葬されてたんだろうが、制度上こうしなきゃならんのだろうな...
@doublemachen: 今日の官報 pic.twitter.com/Qg5XJOs4LT
— Yamar50 in Tokyo JP (@Yamar50) 2015, 3月 22
明治・大正期には、三途の川の渡し賃として、死者に六文銭だけを持たせ、土葬も一般的に行われていたようだ。土葬され、白骨化した遺体を、「改めて火葬するケースもある」というコメントもあった。
@doublemachen @cochonrouge へええ、官報ってこんなのが載るんだ。で、「死後百年以上」でも「心当たりの方は」って一応書くことになってるのか。
— happy (@chimuchimucat) 2015, 3月 19
「行旅死亡人」が官報に掲載されているなんて、皆さん、知ってた? 筆者も初めて知った。インターネット版『官報』も閲覧できるという。たまには読んでみるか......。