ネットで噂の「長野県産かつお」は実在するのか!? 現地調査でついに真相判明
間もなく新年度を迎えようという時期、日本の漁業、いや地理の常識を根本から覆しかねないニュースが飛び込んできた。海なし県の長野に海ができたらしいというのだ。 きっかけとなったのは、ツイッターユーザーの(??ω??)すごろくもきゅきゅさん(@rdrax75)が2015年3月30日夜投稿した画像だ。写っているのは美味しそうな「かつおの刺身」だが、長野県産と印字されているではないか。
3月31日16時45分現在、リツイート数は8400を超えた。
長 野 県 産 か つ お pic.twitter.com/V39PCyZtHx
— (??ω??)すごろくもきゅきゅ (@rdrax75) 2015, 3月 30
日本沿岸でかつおが生息する地域は太平洋側で、日本海側ではめったに確認されない。ということは......県境が変更されたか、天竜川あたりの地形に変化が生じて、海に接するようになったのか??
投稿された画像を検証すると「Y'S」という文字が見える。どうやらこの店で販売された商品らしい。
千葉県浦安市に本社があるワイズマートは、千葉・東京・神奈川の1都2県にディスカウント業態を含め37店舗を展開している。物流センターを浦安、チルドセンターを江東区にそれぞれ設けていて、商品はそこから各店舗に輸送している模様。
店ごとに仕入れているわけではなさそう。ということは、ワイズマートの店舗ならどこでも「長野県産かつお」が売られていた可能性が高い。どこかに残っているかも――そうにらんだJタウンネット編集部は、オフィスに最も近い「AKIBA_ICHI店」へ向かった。
午後3時を過ぎた秋葉原は、外国人観光客でごった返していた。電気街口改札を出て右手にあるビル秋葉原UDXの 1階に、目的の店は入居している。
スーパーとは無縁そうな場所に思えたが、入ってみると主婦たちで店は賑わっていた。
入口から鮮魚コーナーへ向かう。そこで「かつお刺身」を見つけた。これが噂の長野県産かつお――と思いきや、表記は「静岡県産」になっているではないか。
これはどういうことだ......店員に尋ねると、お詫びの紙を貼ってある場所へ案内され、「印字ミスだったんです。ごめんなさい」と謝罪を受けた。
筆者は当該商品を購入していなかったので、かえって申し訳ない気持ちになった。
商品に変な物質が混入していたわけではないし、偽装でも何でもなく、うっかりタイプミスしてしまったのだろう。
「長野県産じゃないのかよー。金返せ」という人がいたら、それこそどうかと思ってしまう。
静岡県産と打ち直された商品を眺める。魚の良し悪しには疎い筆者だが、良質なものを仕入れていると感じる。気にいって買ってしまった。
秋原原にはかつて青果市場があったという。仕入れのプロが集まる市場の周辺は、目の肥えた人が多く、彼らを相手に商売する店も気が抜けないため、自然と店のレベルは高くなると聞いたことがある。
ワイズマートもその精神を引き継いでいると信じたい。いや、きっとそうだ。夕食に食べる刺身が楽しみ。
ところで、ネットでは「信州サーモンなら知っているが」といった指摘が相次いだ。ニュースに接した筆者も最初はそう思った。というのも昨年10月に開店した銀座NAGANOで、スモーク信州サーモンが売られているのを見たことがあったからだ(参照:虫の缶詰もあるよ! 長野県の新アンテナショップは「食」が大幅パワーアップ)。
長野県産かつおが存在しなくて、ホッとしたような、ガッカリしたような......。