東京都在住の50代女性(投稿時)・Sさんが思い出すのは、10代の頃のある夜のこと。 その日、彼女は友人と一緒に、池袋の街で夜を明かす予定だった。 しかし、途中で雨が降ってきて......。 予想外の雨が降ってきて...(画像はphotoAC) <Sさんからのおたより> 40年近く前の秋のことです。 高校生だった私は、ある英国人ミュージシャンのコンサートチケットを取るため、親に内緒で友達と一緒に、池袋のチケット売り場に徹夜で並んでいました。 現代と違って人気コンサートチケットは売り場に長時間並ぶか電話での争奪戦で取るしかなかった時代です。確実なのは並ぶ方だったので、並ぶことにしたのです。 路上で生活するおじさんたちに声をかけたら... その年は秋になっても暑くて、その日も私達は薄着で夕方から並び始めたのですが、夜になって急に気温が下がり、冷たい雨が降ってきました。 もう寒くて寒くて......。傘もなく、雨宿りの場所もわからず、列には交代で並んで、並ぶ番じゃない子は何か暖を取る方法はないかと街なかを右往左往。 日付が変わるころには服もすっかり濡れて、寒さは極限でした。 そんな状態で路上でダンボールの家で暮らしているホームレスのおじさんたちが羨ましくなり、思わず声をかけました。 「そういうダンボールはどこでもらえるのですか?」 夜の池袋で(画像はphotoAC) すると数人のおじさんがこわもてで近寄ってきて、私は「声かけちゃいけなかったかな?」と後悔しかけていたら、中のひとりの方に 「こんな時間に若い娘がこんなところで何をやってるんだ、あなた達の来るようなところではない」 と静かに叱られました。 「いい気になりすぎていました」 そこで事情を話したら、その方は呆れながら「仕方ない」と言って、少し待っているように言われました。 やがて何人かですごくきれいな大きいダンボールをたくさん持ってきてくださいました。 そればかりか、なんとチケット売り場付近を見ている警備員さんを探し出してくれて、その辺りの屋根のあるところでダンボールで一晩過ごす許可までもらってくれたのです。 私達の他にもチケット売り場には20人くらいの人たちが居ましたが、みんなきれいなダンボールを頂いて雨風をしのぐことができました。 ダンボールは思いの外暖かく、楽しいキャンプ?のような気分。体が暖まってきたころで、私達はそのおじさんたちに何かお礼を持っていきたいということになりました。 コンビニなどはなかったので、自動販売機でワンカップ大関を買って、未明に届けに行きましたら、また叱られました。 お礼のつもりだったけど(画像はphotoAC) 「こんなことしなくていい、二度とここに近寄るな」 考えてみれば路上だろうが皆さんは生活してるのに、私達は遊びで真夜中に押しかけて迷惑かけて、また押し付けがましく押しかけたのですから、当然です。 今では失礼なことをしたと思っています。いい気になりすぎていました。 数年してから親に話しましたら、母は面白がり、父は「お前は失礼だ」と不機嫌になりました。 40年経ってるし......、と思いますが、あのときはすみませんでした。でも嬉しくて楽しかったのです。ありがとうございました。 今ではダンボールハウスで暮らすホームレスの人たちもほとんど見かけなくなりましたが、大きなダンボールを見るとなんとなく入りたくなります。 あなたの「やさしい思い出」、聞かせて! 名前も知らない、どこにいるかもわからない......。そんな誰かに伝えたい「ありがとう」や「ごめんなさい」、あるいは「どんなもんだい!」を心の中に秘めている、という人もいるだろう。 Jタウンネットでは読者の皆さんの「『ありがとう』と伝えたいエピソード」「『ごめんなさい』を伝えたいエピソード」「親切自慢エピソード」「親切目撃談」などを募集している。 読者投稿フォームもしくは公式X(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのか、どんなことをしてしまい謝りたいのかなど、500文字程度~)、体験の時期・場所、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。 読者投稿フォームから送る 公式XのDMで送る メールで送る (※本コラムでは読者の皆さんに投稿していただいた体験談を紹介しています。プライバシー配慮などのために体験談中の場所や固有名詞等の情報を変更している場合がありますので、あらかじめご了承ください)