「値段がおかしい」「ゼロ忘れてるのかと」 岩手の鮮魚店が〝値上げ〟したデカい蟹にネット驚がく
カニの季節がやってきた。
カニと聞いただけで心がおどる、赤く茹で上がった脚が数本もあれば、我を忘れ無言でむしゃぶりついてしまう記者は、2025年11月10日、とあるX投稿に吸い寄せられてしまった。
「北海道産、オオズワイ蟹サイズが大きいので思い切って値段上げました。298円!!」
――というコメントを添えて投稿されたのは、鮮魚店カニ売り場のクローズアップ写真だった。
「思い切って値段上げ」? その結果「298円」??
「ズワイガニ」といえば高価なイメージがあるが、まさかこんな値段で販売されているとは? 半信半疑の読者も、大きなカニの右下あたりに貼られた値札を見れば信じるしかないだろう。
投稿したのは、岩手県陸前高田市の「荒木鮮魚店」が運営するXアカウントの一つ「幸丸」くん(@skanayaneko)である。このポストには4000件を超える「いいね」のほか、こんな声が寄せられている。
「え? ゼロ忘れてるのかと思った」
「カニって298円? 298円で買えるものでしたっけ??? こんなでっかいのが??? 」
「値段がおかしい」
「値上げして298円はバグですね」
「298円って 都内ならありえない値段です」
「10杯くらいまとめ買いして蟹天国したいいいいいいい」
「何杯か買って値札の所だけ取って家族に奮発しちゃったよ!とドヤ顔したい」
X上は、まさに騒然! カニのことになると、黙っていられない人がこんなにいるとは。
記者もある程度予想はしていたが、それをはるかに超えていた。日本人のカニに対する"""想い"""は半端ないようだ。
規格外だが、値段と売る量も規格外
あらっきーさんによると、荒木鮮魚店ではオオズワイガニを298円に値上げする前、238円で販売していたという。安い理由を次のように説明した。
「傷物につきお値打ち価格でのご提供となっております」(あらっきーさん)
......なる、ほど?
いや、だからって、200円台とは......?
だって「ズワイガニ」ってもっと高いじゃない???
そう思う人もいるかもしれない。ただ、「ズワイガニ」と「オオズワイガニ」は実は別のカニなのだ。
いわゆる高級な「ズワイガニ」というのは、「ホンズワイガニ」である。
石川県の加能ガニ、福井県の越前ガニ、京都の間人(たいざ)ガニ、山陰の松葉ガニといったブランドガニは、ホンズワイだ。
オオズワイガニはこのホンズワイガニよりも大きい種類で、値段もお手頃だという。
そのお手頃なオオズワイが、規格外であるためにさらにお手頃に......ということらしい。ただ、荒木鮮魚店は別の意味で〝規格外〟なのだろう。Xに届いたリポストの中には、こんな感想もあった。
「オオズワイガニは3年くらい前から北海道で大量発生しているから、基本お手頃価格で一つ500円くらいで買えるくらいのイメージ。それを値上げして298円は安いなぁ」
水産物消費拡大を目指す「魚食普及推進センター」(東京都千代田区)のサイトによると、オオズワイガニは2023年ごろから北海道の襟裳岬や内浦湾(噴火湾)などで捕獲されたというニュースが聞かれるようになった。海洋環境の変化によって、北海道沿岸で増えて獲れるようになったと考えられるそう。
陸前高田市にある「荒木鮮魚店」は、通常は大船渡や気仙沼から仕入れているというが、今回はスポットで北海道のオオズワイガニを仕入れてみたのだという。
11月15日にもオオズワイを100杯仕入れ、「キズ規格外ですが値段と売る量も規格外298円」で販売。開店から3時間後には、97杯売れていた。
オオズワイガニが話題になったことについては「こんなに伸びるのか」と驚きつつ「地魚の投稿も伸ばしたかったと思いました」と語る。
東北産の鮮魚を世界に広めたいと、熱心に発信する「荒木鮮魚店」。
次はどんな海の幸を見せてくれるのか? 地元・陸前高田出身のLAドジャースの新守護神「ROKI」佐々木朗希選手の活躍と同じように、期待が膨らむ!
北海道産、オオズワイ蟹サイズが大きいので思い切って値段上げました。298円‼️🤗 pic.twitter.com/3ZCo2cYCGG
— 幸丸 (@skanayaneko) November 10, 2025
オオズワイ蟹キズ規格外ですが値段と売る量も規格外298円本日も宜しくお願いします🤗 pic.twitter.com/XhFH8gYZFO
— 幸丸 (@skanayaneko) November 15, 2025