「妊婦検診から帰ってきたら、幼い子供たちが行方不明に。任せていた夫に聞くと『え、わからん』と寝ぼけ眼で...」(埼玉県・40代女性)
シリーズ読者投稿~あの時、あなたに出会えなければ~ 投稿者:Kさん(埼玉県・40代女性)
第3子を妊娠中のKさんはその日、幼い2人の子供たちを夫にまかせ、検診に出かけた。
しかし、帰ってくると様子がおかしい。家の中に子供たちの気配がなかったのだ。
<Kさんの体験談>
12年前の寒い土曜日。第3子の出産予定日を翌月に控えていた私は、3歳の長女と2歳の長男を夫に任せて、検診に出かけました。
しかし、帰宅すると玄関ドアが全開。「ただいま」と声をかけても、子供たちは出てきません。家に入ると、トイレ、お風呂、ベランダに続く窓もすべて開け放たれていて、キッチンには開けようとして諦めたらしいお菓子の袋や、髪の毛を切った痕跡が残っていました。
半狂乱で探す私と、家で寝ぼけたままの夫
嫌な予感がして夫のところに行くと、眠ってしまっていました。たたき起こして「子供たちは?」と聞くと
「えっ?わからん」
と寝ぼけています。
当時住んでいたのは団地の4階で、近くには大きな国道や工場地帯、ショッピングモールがありました。車通りも多く、ダンプなどもたくさん通ります。そばには川もあったし、子供への声掛け事案も時々起こっていて......。
「早く見つけないと、もう二度と会えなくなってしまう」。そう思った私は居てもたってもいられず、走り出しました。
子供たちの名前を叫びながら、行きそうな場所をまわりました。しかし、見つかりません。
半狂乱で家に戻りましたが、戻ってもいません。まだ寝ぼけ眼の夫がいるだけ。「探してよ!」ときつくあたってしまいました。
「ママが泣きすぎてこわかった」
最後に、大きな道路を挟んだショッピングモールへ行きました。ここで会えなかったら警察に行こうと決めて、お店の方に「小さな女の子と男の子の姉弟が迷子になっていませんか?3歳と2歳です」と聞きました。震えていたと思います。
「もしかして□□ちゃんと○○くんのお母さんですか? 中にいますよ」
そう教えてもらって、「よかった、いた!」安堵して、涙が溢れてしまいました。
2人を預かってくれていた事務所に向かい、泣きながら「どうやってきたの?」と尋ねたところ、私が家にいなかったので買い物に行っていると思ってここまで来たということでした。その途中で、見知らぬおばあさんに声をかけられたそうです。
「2人でいたら、自転車に乗ったおばあさんが『危ないから一緒に行こう』って」
お店の人も、2人を送り届けてくれたのは高齢の女性だと教えてくれました。「ママがお店にいるから、2人で後を追って来たみたいだけど、危ないから」と言っていたそうです。
その時は2人が見つかったことに安心して、お店の方にお礼を伝えただけで、助けてくれたおばあさんの連絡先を聞くのを忘れてしまいました。そしてそのまま、時が過ぎてしまいました。
私は4児の母になり、たまに子供たちとあの時の話をします。3歳だった長女は16歳になり「ママが泣きすぎてこわかった」なんて、笑い話です。
そうやって笑えるのは、あの時子供たちに手を差し伸べてくださった方がいるから。あの日2人を助けてくださった方、本当に本当にありがとうございました。
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