流されてきちゃったの? 原爆ドーム前に現れたオオサンショウウオに注目→専門家も「なかなかないこと」
2022年4月5日、ツイッターに投稿された、とある写真が大変な話題となっている。
なんでも、川べりに珍しい生物を見つけたというのだ。
川の中、段差になった場所の上に茶色いなにかがいる。ツイートに添えられているのは「オオサンショウウオいた」というコメント。
オオサンショウウオといえば、国の特別年々記念物で環境省レッドリスト2020では「絶滅の危険が増大している種」とされている両生類。そんなヤツがいる川の向こう岸には、特徴あるドーム型の建物が。あれ、ここはひょっとして広島の中心部?
投稿者「おにく(ONIKU)くいたい」(@29tangasuki)さんが投稿したツイートには、なんと69万6000件を超える「いいね」(7日夕時点)のほか、こんな声も寄せられている。
「オオサンショウウオくんは太田川上流の三段峡(安芸太田町)あたりから流されてきたと思われます」
「太田川は源流から河口までが103キロありますよ」
「大雨の時に上流から流されて下流付近で発見されることがありますが、これは珍しいですね」
「おるんじゃ!......40年くらい前に、もっと上流の高瀬関で遊んでて、友達と見つけた事ある。天然記念物よ!」
「何キロ流されたんやw ぽわーと流されてる姿想像したらかわいい」
「この先は汽水域もしくは海だ! 護岸整備されて隠れるとこも少ない! 何とか潮に乗ってぽわーんと戻されてくれ」
のっぺりとした姿がぼんやり者の印象を与えるのか、ほっこりしちゃった人も多い様子。その人気のすごさには、驚くばかりだ。かつて多摩川に現れたアザラシ「タマちゃん」のように、「オオちゃん」とか「ヒロちゃん」とか、愛称まで付けられそうな勢いではないか......。
それにしても野生のオオサンショウウオが、大都市・広島の中心地で発見されることは、よくあるのだろうか。
Jタウンネット記者は、4月6日、投稿者「おにく」さんと、オオサンショウウオの飼育・研究を行う広島市安佐動物公園に取材した。
原爆ドームとオオサンショウウオというシチュエーション
投稿者「おにく」さんによると、お花見のために平和公園を訪れた際、原爆ドーム向かいの元安(もとやす)川の川べりでオオサンショウウオを発見し、撮影したという。
「サンショウウオは地元の動物園や水族館で見たことがありました。野生のものを見るのははじめてです。とにかく可愛かったです。
元々オオサンショウウオはすごく好きだったので、この目で野生の姿を見ることができてとても嬉しく、しばらく興奮が収まりませんでした」(「おにく」さん)
SNSで拡散し、地元テレビでも取り上げられるほど話題になったことについては、
「思った以上の反響で驚いております。私と同じようにオオサンショウウオが好きな方が多かったのでしょうか。今まであまり知らなかった方も知る機会になったこともあるかと思います。また『平和公園の原爆ドーム』というシチュエーションで撮影できたことがバズった要因ではないかと思います」
とコメント。たしかに、原爆ドームとオオサンショウウオという構図は、実に印象的だ。
次に、Jタウンネット記者は広島市安佐動物公園に電話取材した。取材に応じたのは、企画広報部の担当者だった。
「広島の市街地の川で、オオサンショウウオを見かけることはなかなかないことだと思います。広島市の安佐南区辺りでは時々見かけるという話は聞いたことがあります。大雨などで川が増水したときには、上流から流されてくるのかもしれませんが......」(広島市安佐動物公園広報部担当)
しかし4月上旬の広島では、それほどの降雨はなかったという。
ではオオサンショウウオが平和公園近くまで現れたのは、いったい、なぜ? もしやお花見のため?
こればかりは、本人(?)に聞いてみなければ分からないようだ。
残念ながらオオサンショウウオはすぐに姿を消してしまったという。Jタウンネット記者の力では、オオサンショウウオにインタビューすることはできなかった。