もはや「スイーツ系ラーメン」? 弘前のソウルフード「中みそ」再現カップ麺のあと引く甘さがクセになる
マニアと味わう「ご当地カップ麺」の世界
第七十四回 青森・弘前のソウルフード「中みそ」のカップ麺 文・写真:オサーン
カップ麺ブロガーのオサーンです。
第七十四回目の「ご当地カップ麺」連載となる今回は、青森・弘前のソウルフードとされる味噌ラーメン店「中みそ」の味を再現したカップ麺をレビューします。
弘前のソウルフード「中みそ」の「みそラーメン」を再現
青森県のご当地ラーメンと言えば、青森市や弘前市など津軽地方で供されている煮干しを使った「津軽ラーメン」や、青森市内の数店で供されている「青森味噌カレー牛乳ラーメン」があります。
どちらもカップ麺化もされていて、ある程度全国的に知られた存在となっています。
「津軽ラーメン」のカップ麺はこちら
「青森味噌カレー牛乳ラーメン」のカップ麺はこちら
弘前のラーメンは「津軽ラーメン」の煮干しが中心ですが、一方で地元民に愛されソウルフード化している味噌ラーメンが存在します。
それが百貨店「中三」のフードコートに入っている「中みそ」というお店のラーメンで、もともとは「チャイナドール」という店名でしたが、「中三」の「みそラーメン」で「中みそ」に改名されました。
多くのラーメン店がしのぎを削る弘前市で、「第一回弘前ラーメンプロジェクト」1位に輝いたり、全国放送のテレビ番組で紹介されたりと、弘前では誰もが知るお店となっています。
フードコートのお店がこういう扱いを受けるのは珍しいですよね。
ふるさと納税返礼品にも選ばれるグルメをカップ麺化
今回のカップ麺は、「中みそ」の入っている百貨店「中三」や、一部ローソンでも販売されています。
「中みそ」の「みそラーメン」は、野菜がたっぷり入っていて、ニンニクと生姜を効かせた甘めのスープが特徴。カップ麺でもその味が再現されているようです。
ちなみにお店では「みそラーメン」と「辛みそラーメン」が二大看板で、同じフードコート内の隣には「中みそ焼きそば」というお店もあります。
また、「中みそ」の生ラーメンや袋麺は、名産のりんごやりんごジュースなどに混ざって弘前市のふるさと納税の返礼品として登録もされており、押しも押されもしない弘前の名物ということがわかります。
別添袋は「仕上げの小袋」1つ。
カップには、油揚げ麺やスープ粉末の他に、挽肉やキャベツ、もやしなどのかやく類が入っています。
麺量は70グラムで、一般的なタテ型カップ麺の量となっています。
ニンニクと生姜、甘さで後を引く味わいの味噌味スープ
色鮮やかな琥珀色の赤味噌主体のスープに、中太の油揚げ麺と、挽肉やキャベツなど野菜類が合わせられています。
豚骨ベースの味噌味ですが、ニンニクや生姜といった香味野菜でパンチを効かせているのが特徴的。
そしてニンニクや生姜もさることながら、強い甘みも感じられます。それにより後を引く味わいになっており、中毒性が抜群。
なるほど、弘前のソウルフードとして確固たる地位を築いているのも頷けます。
味噌ラーメンであまりない甘さなので、中には苦手だと感じる人もいるかもしれません。
ただ同じ味噌ラーメンでも、札幌ラーメンのような豚骨の太さや、仙台辛味噌ラーメンのような味噌の濃さ、強さはなく、派手な味ながらも多少ライトで食べやすいのが魅力と言えるでしょう。
スープ表面には豚脂を中心とする油脂が浮いており、単にスープがこってりすだけではなく、油脂の香ばしさによって肉や野菜を炒めたような風味を感じることができます。
とはいえ、見た目の油の量ほどこってりはしておらず、甘さや生姜が牽引した味噌ラーメンとしては軽い味わいが楽しめるスープでした。
キャベツやもやしで野菜ラーメンの様相
麺は、中細で縮れのついた油揚げ麺が使われています。
味噌ラーメンのスープは味が濃いものが多いため、合わせる麺は太めなことが多いのですが、「中みそ」の麺は味噌ラーメンとしては細めで、今回の麺でもその麺が再現されています。
麺に強い主張がなく、脇役としてスープの甘みや香味野菜の風味を引き立てていました。
具として入っているのは、挽肉、キャベツ、もやし、ニンジン。
お店のラーメンはキャベツともやしがかなりたくさん入っており、さすがにカップ麺ではそこまでのボリュームはありませんが、それでもキャベツがたくさん入っていて軽く野菜ラーメンの様相を呈しています。
キャベツの甘みが強く、スープと共鳴してさらに甘さ増幅させていました。
スイーツ系ラーメンと言ってしまっても良いかもしれません。
他とは違う味の味噌ラーメンを楽しめる一杯
札幌、仙台、赤湯、長野などなど、ご当地味噌ラーメンは北日本を中心に多くありますが、弘前「中みそ」の「みそラーメン」は後を引く甘さと香味野菜の香ばしさが相まった、他とは違う味を楽しめる一杯でした。
味噌ラーメンにありがちな豚骨や味噌の重厚感がないことも、独自性に拍車をかけています。
カップ麺でもこれだけ楽しめたので、実際のお店で食べるとさらに他との違いが際立つのではないでしょうか。