養殖チョウザメをすべて「メス化」...だと? 「近大キャビア」を作る方法が衝撃的だった
[かんさい情報ネットten.―読売テレビ]2021年11月12日放送では、近畿大学の養殖についての取り組みを取り上げていました。
世界三大珍味のひとつと知られる高級食材・キャビア。これはチョウザメの卵なのですが、世界中でチョウザメの乱獲が続き、近年はほとんどとれなくなっているそうです。
そのため世界的に養殖が進められていますが、ひとつ問題が。
それは「チョウザメは成魚になってもオスとメスの見分けがつきにくい」ということです。
「今まではオスとメスを分けるために、ある程度成長して生殖腺が卵巣・精巣と見分けがつくまで育てて、それからお腹をちょっと切って中をのぞいて判別していた。手術ですね。縫い合わせて池に戻すという作業をしていました」
そう話すのは近畿大学水産研究所の稲野俊直準教授です。
その作業には人件費もかかるし、手間も必要で大変です。そこで、同大学が4年前から研究してきたのが「チョウザメの体表の粘液を少し採るだけでオス・メスを見分ける方法」。
生まれて間もない稚魚をランダムに捕獲し、体表粘液を採取。熱を加えてDNAを抽出し、試薬を入れてパソコン上でグラフに表示することで判別可能になりました。
次に取り組んだのが「通常の養殖ではオスもメスも両方いるから、半分の魚からキャビアができる。それが全部メスだと全部の魚からとれるのでキャビアが2倍になる」と、なんとすべてメス化してしまうという方法です。
女性ホルモンを与え、みんなメス化
一般的に魚は稚魚から成長するにつれてオスとメスに分かれるそうです。そこで考えたのが、チョウザメが稚魚の間に女性ホルモンによく似た成分が入っている「大豆イソフラボン」を混ぜたエサを与えること。
安全な成分としてイソフラボン入りのエサを2年間与えて観察。試行錯誤の結果、すべてメス化に成功しました。全世界的にも1番養殖されているシベリアチョウザメで全部メスにすることができたのは、日本では同大学がはじめてなのだそう。
高価でなかなか手が出ないキャビアの量産化と低価格化に道を開く取り組みですね。他にタラコ、カズノコ、イクラにも視野を広げているとのことで、期待が高まります。
(ライター:まみ)