こんな装備で大丈夫なの!? キャンプ初心者が、リュックひとつで「福井ソロキャン」満喫してきた
「福井県に、ソロキャンプに行ってみない?」
ある日、Jタウンネット編集長からそんな電話がかかってきた。
新型コロナウイルスによる緊急事態宣言も解除された2021年10月。長きにわたるステイホームを満喫していた筆者も、そろそろ体がウズウズしてきたところだ。
「ひとりでキャンプするなら、密にならない。しかも体も動かせる......!」
と、二つ返事で了承。しかし、一つ問題があった――キャンプ、やったことなかったのだ。
「まさか、道具を揃えるところから始めなきゃいけないのか?」と不安になる筆者。でも、心配はいらないらしい。
筆者が向かうのは、県東部の大野市にある和泉前坂家族旅行村「前坂キャンプ場」。雄大な自然や巨大なダムを楽しめる九頭竜湖の近くに位置している。
必要な備品はすべて、キャンプ場でレンタルできるというのだ。
というわけで10月初旬、キャンプ初心者が1泊2日のソロキャンを満喫してきたので、ご紹介しよう!
リュックひとつとカメラだけ
10月上旬。筆者は、東京駅から福井駅を目指した。
東海道新幹線に乗って滋賀県の米原へ。そこから特急しらさぎに乗り換えるルートだ。
持ち物は、寝袋と薄いジャンパーと財布、それから道中の飲み物と一眼レフカメラのみ。キャンプ場に聞いたところ、毛布はレンタルがあるが寝袋も持ってきたほうが良いと言われたので、アドバイスに従った。
消耗品である炭や着火剤、そしてBBQで食べる食材は、福井についてから購入する。
これからキャンプとは思えない軽装備で、平日の11時頃、福井駅に到着。ここから前坂キャンプ場へは、越美北線(通称・九頭竜線)に乗って終点の九頭竜湖駅を目指すのもいい。のどかな風景を眺めながらの電車の旅を楽しめる。
ただ、本数が非常に少ないので、時刻表は要確認。途中下車もできないが、九頭竜湖駅に着きさえすればキャンプ場まで行くバスがあるし、タクシーを呼ぶこともできる。
炭・着火剤は九頭竜湖駅前のコンビニで、食材は駅前の「道の駅 九頭竜」とキャンプ場で買えるので、身軽なままキャンプ場を目指すのもアリだ。
運転免許を持っている人は、レンタカーを借りるのもいいだろう。行ってみたい場所があった筆者は、今回はこちらを選択した。
大野市には福井県で唯一、日本百名山に選ばれた「荒島岳」がそびえ立つ。「大野富士」の別名を持つ名峰だ。
筆者の目的地は、その麓ある道の駅「越前おおの 荒島の郷」。21年4月にオープンしたばかりである。
なぜここに立ち寄ったのか。答えは、BBQでの食材調達だ。
先述の通り、キャンプ場付近でも食材は購入できる。しかし、「越前おおの 荒島の郷」は県内最大級の道の駅。施設内の「荒島マルシェ」には市や県の特産品が集結しているのだ!
せっかくだから、福井のウマいものも存分に味わいたい――そんな筆者にはピッタリの場所なのである。
ここでサシの入った「いい肉」を購入したので、後ほど紹介しよう。
他にもおいしそうな食材を手に入れた筆者は、そのまま前坂キャンプ場まで車で走った。
テントもコンロもレンタルです
14時ごろ、目的の前坂キャンプ場に着くと、一人の男性が筆者を待っていた。
前坂キャンプ場を運営する「福井和泉リゾート」営業担当の巣守隼さん(26)だ。
来場者の受付のほか、蛇や猪などの駆除や草刈りといった施設管理を行っているという。
巣守さんのいる管理棟でチェックインを済ませ、場所代やレンタル用品代を前払い。代金は総額で、1万5450円(税込み、以下同)。
筆者が今回レンタルしたものが、こちらだ。
宿となるテントに加え、マットや毛布といった寝具類。BBQコンロに飯盒やしゃもじ、包丁、まな板、紙皿などが入った炊飯セット。あとは、椅子やテーブル、蛍光ランプだ。写真にはないが、薪もここで購入できる(金額は1セット400円。筆者はうっかり道中で買ってしまっていた......)。
さて、一気に増えた荷物を抱え、キャンプ地へ向かおう。
前坂キャンプ場には、6畳程度の小屋を使えるログケビンサイト(全20棟)と、指定されたエリア内の好きな場所にテントを張れるテントサイト(全25張)、そして今回筆者がキャンプ地に選んだオートサイト(全40区画)が用意されている。
オートサイトには駐車スペースがついているが、車で来ていない場合も利用できる。
キャンプ初心者の場合、オートサイトのように区画が分かれていて、テントを張る場所が決まっているほうが荷物の管理がしやすいそうだ。
初めてのテント、1人で張れるのか...?
さあ、さっそく本格的にキャンプ開始だ!
借りたテントは、アウトドアメーカー「スノーピーク」のアメニティドームM。大きさは、大人2人と子ども3人分くらいだ。
レンタルする時に説明書を貸してもらえるので、その通りに組み立てる。わからないことがあれば、スタッフに聞けば教えてくれるので、初めてでも問題ない。
まずは、ポールを使って、インナーテントをドーム状に張る。それが風で倒れないように、ペグでしっかり地面に固定したら、雨風を防ぐフライシートを、テントを覆うようにかぶせる。
初めて尽くしの筆者は1時間ほどかかった。
あとは、その他のレンタル品をテント前に並べてみると......。
さて、ひさびさに全身を動かしたら、すんごいお腹が減った。
キャンプの醍醐味、BBQをしてみよう!
福井の味を大満喫
まずは、筆者が調達してきた食材の数々をご覧いただこう。超豪華である。
・若狭牛サーロインステーキ
・福井の焼肉店「もも蔵」の「塩ひね鶏」
・大野市の特産品「九頭竜まいたけ」
・福井県産のピーマンやシイタケ
・大野市産あきだわら(コメ)
・福井ソースかつ丼風味のポテトスティック
・福井の地ビール・越前福井浪漫麦酒
・福井県産の梅を使ったチューハイ「NIPPON PREMIUM」
など、道の駅で購入したご当地感溢れる食べ物・飲み物の他、キャンプ場で購入した牛肉・豚・鶏肉・ソーセージの入ったBBQパック(1人前、800円)も。BBQパックだけでも、十分楽しめる量がある。1人前じゃ足りない!という人には、2人前(1600円)もあるぞ!
BBQコンロに、道中購入した着火剤と炭を入れ、うちわでひたすら空気を送る。火がついたときには17時ごろ。あたりは暗くなっていた。
まず準備するのは白米。キャンプの醍醐味のひとつ、飯盒炊さんである。
コメと水を入れ、炊きあがりを待ちながらキノコと野菜の下準備をしておく。と言っても、切るだけだが......。
ご飯が炊けたのが確認出来たら、あとはおかずを焼いて、食べるだけだ!
まずは、キャンプ場で買ったBBQセットのお肉から。パックから取り出して......、ドーンと網に置く。
――こんなの、絶対うまいに決まってるじゃん!
あとは、焼けたものから食べる。飲む。焼く、食べる......、この繰り返しだ。
ちょっと焦げても、それが美味しい。ちょっと冷めても、すぐに焼き直し可能。最高でしかない。
若狭牛、ウマすぎでは!?!?!?!?!?
お待ちかねのメインディッシュは、福井県が誇るブランド牛「若狭牛」だ。
肉質の良し悪しを決めるサシ(脂)の入り方が、細やかだ。
その片面をサッと焼いて、裏面も同様。まな板に移して切ってみると......。
刃先が肉に触れるだけで、肉の柔らかさが伝わってくる。
スッと切ると、きれいなピンク色の断面が出現。間違いなく、うまい......!
頬張ってみると、すぐに脂がとろけた。まったりとした甘さがひろがるが、それでいて後味はあっさり。
若狭牛、最高すぎる......。
焚き火っていいね
キャンプのクライマックスといえば、焚き火だ!
BBQを終えた筆者は、パチパチと燃える火を、ぼーっと眺めることに。
コロナ禍でキャンプにハマる人が増えているというが、気持ちがわかった。心が落ち着くとは、まさにこの状態のことを言うのだろう。
チューハイも開けて、ツマミをパクパク。
最高の晩酌を楽しみつつ、焚火の火が弱まってきたら、就寝の合図だ。
火が消えたことを確認して、明日に備えよう!
筆者は酒を飲んでいたのでそのまま寝ることにしたが、汗を流したい人はキャンプ場内に2か所ある温水シャワー室を300円で使える(せっけん類、タオルは持参の必要あり)。
テント内に地面の凸凹を緩和させるマットを敷いて、その上で寝袋に入る。テントはファミリー用なので、ソロキャンプだと窮屈さは全く感じなかった。
シーンと静まり返った自然の中で、寝るって気持ちいい。スマホを見ることもなく、いつもより2~3時間は早く眠りについた。
爽やかな朝と楽しいアクティビティ
早く寝たおかげか朝7時には目覚めた。
普段ならまだ布団でぬくぬくしている時間だが、爽やかな空気を楽しむために、散歩に出ることに。
場内には、福井と岐阜を流れる九頭竜川系の清流・石徹白(いとしろ)川が流れている。
心地よいせせらぎをBGMに、てくてく歩いてテントサイトエリアに向かってみると、ひときわ水の色が綺麗なスポットを見つけた。
流れが穏やかで、夏なら川遊びに最適だろう。
ちょっとここで、小休止。1時間くらい、ボーッとした。時間の流れにとらわれない、ソロキャンならではの過ごし方だ。
さて、昨晩あれだけ食べても、不思議なことに朝になるとお腹がすく。
前坂キャンプ場では「体験プログラム」として「ワッフル作り」「バームクーヘン作り」、「魚釣り体験」(釣った後はその場で焼いて食べられる!)などがあるので、筆者は朝ごはんとしてワッフルを作った。
ワッフルメーカーもワッフルのタネもキャンプ場が用意してくれるので、管理棟で料金さえ払えばいい。1050円で写真くらいの大きさのワッフルが6枚作れた。
化石を発見!?
また、キャンプ場の一角には「化石発掘体験」が楽しめるコーナーもある。
約1億6000万年前、後期ジュラ紀のアンモナイトが産出される場所として知られる九頭竜ダム周辺の長野地域から、化石が出てくる可能性のある石を運んできているのだそう。
トンカチとゴーグルを借りて、いざ発掘。
体験は1時間550円。めぼしい石を見つけたら、トンカチで割っていく。クラックというひび割れがあったら、そこを叩く。断面に、他の部分と比べて不自然な色や光沢があれば、それが化石だという。
巣守さんによると、何らかの葉の化石。ほとんどは葉脈だけの化石だが、このように葉が残っているものもある。また、アンモナイトが見つかることもあるそうだ。
握りこぶしくらいの化石なら、1つまで持ち帰り可能とのこと。これも、この土地ならではの体験だ......!
キャンプを楽しみ、福井ならではのアクティビティまで体験し、大満足の筆者。
ほぼ身ひとつでやってきて、こんなに満喫できるとは......。しかも、借りていたものを返せば、元通り身軽に。午前中にキャンプ場を出れば、福井観光だってたっぷりできる。
今回レンタカーを使った筆者は、最後に九頭竜湖までやってきた。
九頭竜ダムによって九頭竜川がせき止められてできた人造湖で、福井の観光スポットとして人気が高い。魅力はその広大さと、季節によって変わる山の色。筆者が訪れた10月上旬は、深緑色の山々とそれを映す湖という心落ち着く光景だった。
福井での1泊2日のソロキャン、初心者の筆者でも最高に楽しめた!
ソロキャンに興味はあるけど、ハードルが高くて――そんな風に思っているアナタ。
福井、オススメですよ。
<企画編集・Jタウンネット>