「道で骨折した犬を見つけ、動物病院へ。家中からかき集めたお金を見て、獣医は『全然足らないけど...』」(兵庫県・40代女性)
道を歩いていたら、怪我をした野良犬に出くわした──。
そんな状況に遭遇したら、皆さんはどうするだろうか。「助けたい」と思った場合、まずは動物病院に連れていくことを思いつくだろう。
でも、もしペットを飼っていない人だったら、「近くの病院はどこなのか」「費用はどれくらいかかるのか」など分からないことだらけのはず。
兵庫県在住の読者・Jさん(40代女性)も、まさにそんな状況に陥ったことがあるという。
今から20年以上前、彼女がまだ専門学校生だったころの話だ。
ある日の帰り道、Jさんは一匹の怪我をした犬を見つけたのだが......。彼女がJタウンネット宛に寄せた体験談を、一緒に見ていこう。
見るからに足の骨が折れていた
20年以上も前のことです。私は当時、田舎に住む専門学校生でした。妹は小学生で、私は毎日原付で、妹は徒歩で長時間かけて学校に通っていました。
ある日、私がいつものように原付で帰っていると、1匹の白い犬が道路を歩いていました。見れば、その犬は足を引きずっており、見るからに骨折しているようでした。
「どうしよう」と思いながら原付を止めてオロオロしていると、やがて同じく学校帰りらしい妹もその場に現れて、「お姉ちゃん!犬が!」と言いました。
しかし、当時家には私と妹しかいませんでしたし、随分と田舎だったので近所に動物病院もありません。犬を助けようにも、私たちの力だけではどうにもできそうにありませんでした。
2人で悩んだあげく、まず私が片っ端から「怪我をした犬を運んでくれませんか?」とタクシー会社に電話しました。しかし、どこに電話をしてもすげなく断られてしまったのです。
そんな中、ようやくとあるタクシー会社さんが親切にも引き受けてくれることに。
私たちは家の中にあったお金をかき集め、車で30分以上はかかる場所にある動物病院に、その犬を乗せて向かったのですが......。
「ほんとは全然足らないんだけど」
病院に行くと、犬はやはり骨折していて、手術が必要な状態だと診断されました。
私は妹と2人で、獣医さんに家から持ってきたお金を見せました。あの時は無我夢中で、自分達がどのくらいのお金を持っていたのかもよく覚えていません。おそらく1万円あるかないかだったのではないかと思います。
それを見た獣医さんは、わたしたちにこう言いました。
「ほんとは全然足らないんだけど、これでいいよ」
そして、本当はいくらかかる、と告げることもなく手術をしてくださったのです。
また、私たちと犬を運んでくれたタクシーの運転手さんも、受診している間ずっと待っていてくれました。
あの時のタクシーの運転手さんや獣医さんのあたたかさ、今、本当にありがたく思います。
それからその犬には「シロ」と名付けて、我が家の仲間になりました。
もうずいぶん昔のことですから、もう亡くなってしまいましたが、シロは最後まで私と妹のそばを離れませんでした。
誰かに伝えたい「あの時はありがとう」、聞かせて!
搬送を引き受けてくれた運転手さんや、手術をしてくれた獣医さん。彼らの助けがなかったら、きっと「シロ」の命は助からなかったことだろう。
皆さんはこんなふうに、窮地に陥った時に優しく手を差し伸べてもらったことはあるだろうか。
Jタウンネットでは読者の皆様の「『ありがとう』と伝えたいエピソード」を募集している。
読者投稿フォームもしくは公式ツイッター(@jtown_net)のダイレクトメッセージ、メール(toko@j-town.net)から、エピソードを体験した時期・場所、具体的な内容(どんな風に親切にしてもらったのか、どんなことで助かったのかなど、500文字程度~)、あなたの住んでいる都道府県、年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。秘密は厳守いたします。
(※なお本コラムでは、プライバシー配慮などのため、いただいた体験談の一部を改変している場合があります。あらかじめご了承ください)