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全国のねじでお困りの皆さん、蒲田の「ネジを愛しすぎている家族」に聞けば悩みが解決するかもしれません

松葉 純一

松葉 純一

2020.09.16 11:00
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三和鋲螺の店頭(画像提供:三和鋲螺)
三和鋲螺の店頭(画像提供:三和鋲螺)

2020年9月10日、次のようなコメントを添えたツイートが投稿され、いま話題となっている。

「全国のインチねじでお困りの皆様!!! そんな時は是非、三和鋲螺にお問い合わせください。家族だけでやっている小さなねじ屋ですが、インチねじの在庫は日本一の自信があります!」

しかし、インチねじとはいったい何だろう?普通のねじとはどこが違うのだろうか?

ツイートには、上のような写真が付けられている。店の外壁に取り付けられた看板だろうか。

「インチねじからメートルねじまで80%揃う店」

と書かれている。また、別の場所には「どうしようもなくねじで困った時思い出してください」ともある。ここは、東京都大田区蒲田にある三和鋲螺(びょうら)という店だ。

Jタウンネット編集部は、このツイートをした三和鋲螺を取材した。

米国製品に使われるインチねじ

三和鋲螺は、代表の石井章夫さん、長男の健友さんなど、家族5人で運営する、家族経営の企業だ。Jタウンネット編集部は、インチねじとは何か?と、聞いてみた。答えてくれたのは、健友さんだった。

「インチねじとは、その名の通り、ねじのサイズがメートル規格ではなくインチ規格のねじです。ただし『インチねじ』と一口に言っても、イギリス系のインチ、アメリカ系のインチ、もとはイギリス系ですが現状も日本ボルトで使用されているインチ等々、規格が多数あります。弊社が得意しているものは現状のアメリカ系のインチ、通称『ユニファイ規格』のねじとなります」

なるほど、ねじの世界もなかなか奥が深いようだ。

ユニファイ規格のねじ(画像提供:三和鋲螺)
ユニファイ規格のねじ(画像提供:三和鋲螺)

健友さんの解説によると、米国は、ヤードポンド法の国なので、いまだにインチ規格のねじが多く使用されている。一方、英国では、現在ではメートル規格に変更されているという。ただしいずれも例外があり、米国製品でもメートル規格のねじを使用する場合もあり、英国製品でも米国向けにインチねじを使用する場合もあるそうだ。けっこう複雑だ。

インチねじがぎっしり積まれている棚(画像提供:三和鋲螺) 
インチねじがぎっしり積まれている棚(画像提供:三和鋲螺) 

米国製品といってもいろいろだが、具体的に問い合わせが多い事例としては、ハーレーダビッドソンのオートバイなどには、インチのねじが使用されているそうだ。

他にも車、スピーカー、パソコン、アーチェリーなど、米国製のものには多岐にわたり使用されている例が多いかもしれないという。

そういった米国製品を持っていて、インチねじを探している場合は、三和鋲螺に来れば、見つかるのだろうか?

「アメリカ系の一般品なら、小売店としては国内で一番在庫を持っていると思います」

石井健友さんは自信たっぷりに答えたが、次のように付け加えた。

「例えば、ハーレーなどは、場所により、インチ規格でもハーレー独自のねじを使用しています。通常より特殊なインチねじを使用している場合もあります。そうすると手が出せません」

とはいえ、凄まじい品揃えだ。こんなにも多くのねじが揃っている理由は、同社のツイッターではこんな風に説明されていた。

「これだけ在庫があると過去に一度も売れないねじもあります。笑
『何十年も売れてなくても、その間に1人でも「このねじをずっと探していました!」と喜んでくれる人がいれば良い。』と父は言います。
これからもねじを必要としている方々のお力になれます様に。」

「インチねじからメートルねじまで80%揃う店」という看板のコピーは、30~40年近く前から使われている。蒲田に店を構える以前、虎ノ門で営業していた時代の店頭から使用しているものだという。「クセの強い店です」と、健友さんは苦笑しながら語った。

「1954年の創業以来、町のねじ屋さんとしてやってきました。それは変わりません。ただし、大手量販店のようなマニュアル化された丁寧な接客の店とは違います。60年以上続く個人商店ですので、好き嫌いが分かれる店だと思います。合わない人はとことん合わないと思います」

三和鋲螺はねじそのもの以外にも、ねじキューピーと呼ばれるグッズや、ねじトートバッグ、ねじマグカップなどの商品を販売し、好評だという。

トートバッグとマグカップも好評販売中(画像提供:三和鋲螺) 
トートバッグとマグカップも好評販売中(画像提供:三和鋲螺) 

「『ねじが好きで、ねじを使って何か楽しいことをしたい』、そんな気持ちで作った品物が皆さんの心に、なぜか響いたのだと思います。まず第一に自分たちが楽しんでいるだけです」

なぜ、それほどねじが好きなのだろう?

健友さんは、こう答えた。

「子どものころから、ねじは身の周りにありました。なんとなくねじで遊んでいたり、絵を描いていたり、生活の一部だったのですよ。家族の中で、自然にねじのことが話題になったりしてましたから......。ねじキューピーなどのグッズも、家族の会話の中から生まれたものです」

三和鋲螺のツイッター公式アカウントは、健友さんの妹さんが担当しているそうだ。9月10日の別ツイートでは、こうつぶやいていた。

「うちの少し変わった特徴は、家族皆がねじを愛し過ぎている事(笑) 。ねじは縁の下の力持ちじゃない! 主役にならないとダメだ! って事でねじグッズ売ってます! ねじが主役にのインスタもやってます! ※ねじのイラストは父の手書きです(笑) 」
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