そこでアクセル踏んじゃうの!? 高齢者に容赦ないと話題のバス広告、正しい解釈を聞いた
2020年2月に運行90周年を迎える名古屋市営バス。名古屋市交通局はこれを記念して4種類のポスターを作成、地下鉄の駅構内や電車・バス車内に掲示している。
ポスターは今年の7月29日から掲示されているが、そのうちの1つがツイッターで思わぬ注目を集めている。それがこちらだ。
実際に職務に就いている、バスの運転士にスポットを当てたこのポスター。運転士のまなざしは優しげでデザインに違和感はないように思われるが、話題になっているのは右下の文章だ。
昼下がりのバス停。
乗りこむお年寄りの方へ声をかける。
「ゆっくりで大丈夫ですよ」
と、優しくアクセルを踏む。
「ゆっくりで大丈夫ですよ」と言いつつ、アクセルを踏んでいるではないか――
もちろんそういうことではないと思うが、文章からはお年寄りがちゃんとバスに乗れたかどうかを確認することはできない。バスに乗ろうとゆっくり足を上げたお年寄りの目の前で、発車してしまった可能性もゼロではない。
あるツイッターユーザーが10月29日、このポスターに上述したようなツッコミを入れて紹介すると、ネット上には、
「席につくまで停まっといたれや笑」
「『優しく』に騙されてはいけない」
「サイコバス...」
「運転手『(次のバスもあるから)ゆっくりで大丈夫ですよ』ブブーッ」
といった反応が。すっかりネタにされてしまっているようだ。
本当は何を伝えたかったのか。Jタウンネットは10月30日、ポスター制作を担当した名古屋市交通局乗客誘致推進課の担当者に話を聞いた。
運転士の目線に注目
担当者によれば、名古屋市交通局ではバスの発進前に乗客が座ったことを確認する「着座確認」を基本動作として行っている。
そのためこのポスターの状況においても、着座確認は当然行っており、
「『大丈夫ですよ』と言って、このお年寄りが座ったことをミラーないしは目視で確認をしています。しかも座ったからといって急にアクセルを踏むわけにも参りませんので、優しくアクセルを踏むということになります」
と担当者は説明。「お年寄りに限らず、優しく丁寧に運転をさせていただく」という意味がポスターには込められているという。
その証拠に、ポスターの運転士の目線は正面を向いていない。これは目視で乗客の着席を確認している姿だそうだ。
思わぬ形で話題となってしまったが、担当者は今回のことについて、
「優しい運転操作、しっかりとした整備の心がけなどの安心安全を、これからもお届けしていくということを広く知っていただけたら幸いです」
と話している。
ポスターは90周年記念事業のため、2020年度以降は見られなくなるとのことだ。