納豆支出額トップが「水戸市」じゃなくて「福島市」な理由は...
「なんで今日納豆ないの?」
納豆と聞いて一般的に思いつく有名産地は茨城県だろう。納豆をモチーフにした茨城県非公認キャラの「ねば~る君」、おかめ納豆を製造するタカノフーズ(小美玉市)あたりが有名だ。
今回の家計調査は、都道府県庁所在市および政令指定都市が対象となっている。
納豆の全国平均額は3808円、水戸市は5434円、そして福島市が6092円だった。調査を行った総務省統計局は「この家計調査は品目が多く、1つ1つ分析までは出来ていません」としながらも、「福島市が1位なのは、確かに意外な感じはしますね」と首をかしげる。
実際、農林水産省が発表している大豆生産都道府県順位によると、2016年度時点で福島県の収穫量は全国22位の2140トンと、決して収穫量が多いとは言えない(なお、北海道が1位で8万2400トン、茨城県は16位で3800トン)。
ますます謎は深まるばかり。そこで、業界団体である全国納豆協同組合連合会に話を聞いた。
「まず、福島県では3つの地域に分かれ、昔から山間部では越冬のためにタンパク源を摂取します。納豆はその1つです」と担当者は説明する。
福島県は、主に次の3つの地域に分かれる。いわき市などの沿岸部、福島市などの県北~中央、会津若松市などの山間部だ。昔から、沿岸部では魚をタンパク源としていたため、納豆はあまり食べられていなかった。一方で、山間部では越冬のために納豆が貴重なタンパク源となっており、山間部に近い福島市では納豆がタンパク源として食べられていたという。
また担当者は、1世帯当たりの世帯構成人数が全国平均よりも多いことも理由の1つだと指摘。2016年10月時点で、福島市を含む県北地域で1世帯あたりの世帯構成人数は、2.6人。全国では2.47人(2016年時点)であるから、わずかに上回っている。
また、担当者は次のように話す。
「16,17年の支出増加率が著しく、ミステリアスです。もはや意地でもいいから食べているのかと思うくらい。前年比で5%以上増加しています。これはなぜなのかわかりません」。
担当者は「水戸市では『納豆が好きだから食べよう』と納豆愛が深い人が多いですが、福島市では『なんで今日ないの?』と必然性が高い人が多いと感覚的に感じます」と感覚をもとにした見解を示した。
なお、Jタウン研究所の読者投票によると、「『納豆嫌い』多い県は?現代の『納豆格差』、全国アンケートで判明」(2014年8月)で、福島県は納豆嫌いな人がいない県となっていた。このことからも、福島県の日常の食卓には、納豆がなじんでいるようだ。