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和歌山県にある「日本唯一の飛び地の村」 山と川で行政区域を分けたら取り残された説も

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.05.22 18:00
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皆さんは、自分の住んでいる地域に別の都道府県の市町村がある、と言われたらどうだろうか。「何を言っているのか」と思う人も少なくないだろうが、こうした「飛び地」と呼ばれる地域が、日本にはあまた存在している。以前、Jタウンネットでも「埼玉県にある約30m×60mの「東京都」...飛地の存在理由、区役所もわからず」でも紹介している通りだ。

ただ、こうした「飛び地」は、「村」でみると実は全国でたった1つだけ。それが、奈良県と三重県に挟まれた、和歌山県の北山村だ。

北山村の名産であるじゃばら(画像は北山村の公式ホームページより)
北山村の名産であるじゃばら(画像は北山村の公式ホームページより)

北山村が和歌山県に編入されたのには2つの説が

北山村は人口500人ほどの、村の97%を山林が占める自然豊かな地域で、川を下るいかだとユズの一種であるかんきつ類の「じゃばら」で知られる。三重県と奈良県の間にあり、和歌山県のどの市町村とも隣接しない特殊な場所に位置する。

村のホームページによれば、もともといかだ乗りが多かった現在の北山村にあたる一帯の地域では、木の集積場である地域の「新宮」(しんぐう)との関係が強かったとされる。明治4年(1871年~72年)の廃藩置県の実施において、和歌山県に新宮が編入されることがわかり、地理的には奈良県に属するはずだった北山が村民の要望から新宮に合わせて和歌山県に編入。その後、明治22年(1889年)には七色、竹原、大沼、下尾井、小松の5村が合併し北山村と改称されたとある。

この経緯について、Jタウンネット編集部が2018年5月22日に北山村役場政策推進室の担当者に取材したところ、

「実はですね......これ、別の説もありまして。北山川のほかに、村付近にある山の尾根や谷といった自然の環境を基準に行政区域を分けていった結果、北山村だけが取り残された という話もあるんです」

と説明。つまり、新宮との深い関係から廃藩置県時に村民の要望を受け和歌山県に編入された説と、行政区域の分割の際に取り残された説の2つがあるという。

いずれも「文献もなく口伝で伝わっているため、詳細な経緯はわかりません」と付け加えた。

付近に奈良県の上北山村と下北山村があることから、合併の予定があるのかどうかを尋ねると、

「いまのところ特にないですね。村長も単独でやっていく、との意向がありますので。というのも、大きい市町村になった時には行政サービスが低下する懸念があるんです」

と語る。大きな自治体となれば、村役場も支所の扱いとなり、予算や人員の削減から住民への行政サービスの質が低下したり、今まで村では行えていた福祉政策が撤廃されたりするというリスクがあるとした。

北山村のいいところや課題について聞いてみたところ、

「いいところは、飛び地で物珍しいことが村の売りになるところですね。蛍がいたり、雲海に村ごと沈む景色も見られますよ」

という。従来は「道路の行き止まりにあるような村だった」が、高速道路も通るようになったことで交通の便が良くなり、名古屋から4時間程度で行けるようになったという。

また、

「子どもが少ないこともありまして、給食費・保育料・18歳以下の医療費などは無料なんですよ」

と続ける。住民票ベースで2017年3月末の19歳以下の人口は51人だという。

「ただ、高齢化率は46%となっていまして、70歳以上の方が170人おります。ほかにも、救急搬送をする場合にも村内に大きな病院が無いので、他の地域から救急車を手配しなくてはならない、といった課題もあります」

と、少子高齢化の深刻さなどについて言及した。

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