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【検証】ジャミロクワイ「Virtual Insanity」は、本当に「さっぽろ地下街」からインスピレーションを受けたのか

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2018.04.06 17:00
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「仙台説」もあるが...

発端はあるユーザーが、1999年に行われたジャミロクワイの東京ドーム公演の画像を投稿したこと。この画像の中でジャミロクワイが(正確にはボーカルのジェイソン・ケイさんだが)、「札幌で歩いた地下街の印象をホテルに戻ってまとめたのが『Virtual Insanity』」という趣旨の発言をしているのだ。

地下街はサイバーパンクな感じがしなくもないが(MiNeさん撮影, Flickrより)
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念のため、東京ドーム公演の映像を確認してみたところ、確かに前述の発言をしていた。

来日公演での単なるリップサービスでは......、という気がしなくもないが、この話、どのくらい「マジ」なのだろうか。ジャミロクワイ本人に聞くのが一番確実なのだが、電話ですぐに答えてもらえるとは思えないので、過去のインタビューなどを調べてみた。

すると、2013年に南アフリカの新聞「Mail & Guardian」オンライン版の記事の中で、「あなたの歌に最も強いインスピレーションを与えたものは?」との問いに対し、ジェイソンさんが「心に浮かぶのは、初めて訪れた日本の巨大な地下街」と回答していることを確認した。

「通りを歩いていたけど誰もいなかった。完全に荒廃した世界みたいだった。でも、階段を下りて地下街に行くと大勢の人が地下にいた。視覚的に普通じゃない場所だったね。そのことを『Virtual Insanity』の歌詞にしたんだ」

実際に、「Virtual Insanity」では「we all live underground」という歌詞が頻出する。わざわざ日本以外でもこう答えているのであれば、リップサービスではなく、本当にインスピレーション元になっていた可能性が高い。

ただし、前述のインタビューでは地下街が札幌だったかどうかはわからない。近年のMCやインタビューで「仙台の地下街」と言っているとの情報もあり、2013年に発売された20周年記念アルバムのライナーノーツにも仙台と書かれていることを示したツイートもあった。

ジャミロクワイの公式サイトで、過去の来日記録を見てみると、東京以外では愛知、大阪、神奈川、北海道、宮城、福岡、広島で、確かに仙台も訪れているのだが、仙台に「巨大な地下街」はない。

さらに、雪が降ると通りに誰もいなくなる、という発言から考えると、札幌市の大通公園下に広がる、「オーロラタウン」と「ポールタウン」で構成された、「さっぽろ地下街」のことを指している可能性が高そうだ。

夜になれば車も減って荒廃した感じにはなるかも?(Ray Swi-hymnさん撮影, Flickrより)
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唯一の札幌公演も1995年2月26日となっているので、まさに厳しい冬の北海道だ。「Virtual Insanity」のリリース時期が96年9月なので、タイミングも違和感はない。なお、札幌の2日後には、宮城でもライブを行っているため、両者を混同した可能性もありそうだ。

もう少し情報が欲しいので、「さっぽろ地下街」を管理する、札幌都市開発公社にも確認することにした。Jタウンネット編集部が2018年4月6日に取材をしたところ、同社の担当者は、

「私個人がそうした話を耳にしたことはなく、社内でも知られていないと思います。今回ツイッター上で話題になっているのを見て、初めて知りました」

と話してくれた。ちなみに、ジャミロクワイが語っていたように、冬になると通りから人がいなくなり、地下に人が溢れかえるのだろうか。

「その時の状況や時間帯にもよると思うのですが、確かに冬は足場も悪くなり、地上よりも地下街の利用者数が多くなります。さすがに誰もいなくなる、ということはありませんね」

当たり前だが「Virtual Insanity」は、「冬の札幌の地下街行ったら人がすごかった~」などと歌っているわけではなく、この世界が「仮想の狂気」で作られているとし、そのことをシニカルに描いた名曲だ。

「さっぽろ地下街」という空間を、ジャミロクワイというアーティストのフィルターを通して表現したのが「Virtual Insanity」、ということなのだろう――。と勝手に納得してしまったが、本当のところはジャミロクワイにしかわからない。機会があれば、本人に聞いてみたい。

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