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来夢来人だけじゃない!魅惑の「当て字店名」を集めてみた【探訪!スナック珍名さん】

中丸 謙一朗

中丸 謙一朗

2017.08.14 20:00
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こんにちは。飛び込みで入った知らない土地のスナックでぼられ、
知らん顔して次の日も同じ店に行ったら、値段が前の日の3分の1になった、
コラムニストの中丸謙一朗です。

さて、この企画もとうとう9回目。

スナックの当て字名前「来夢来人」は永遠の名作。
世のお父さんがたに薄く影響を与えている、元祖キラキラネームです。

さて、本日も「全国スナック名称研究会」(全ス研)提供、「スナック珍名さん」をお送りいたします! (パチパチパチパチ)

今回はスナック名称の原点、キラキラネームを全国から収集。

看板チェックは煩悩チェック、入店ないので、チャージフリー。

コスパ最強、街角で、誰でも楽しめる、スナック「哀愁」物語。

では、今週もじっくりとお楽しみください。

【第1発目】「スナックネーミング界の大物」(採取地・小田原)

「スナックネーミング界の大物」
「スナックネーミング界の大物」

「姿が麗しい人」と書いて、「しゃれーど」と読む。うむ、完璧だ。「シャレード」とは、身振り手振りで言葉あてをする遊び。ジェスチャーや見え透いた真似事のことを言う。でも、たぶん、オードリー・ヘップバーンの映画のタイトルから取っているんだと思うけどね。でも、麗しいね、看板ボコボコでも。洒落てるね、すなっくっていう文字がグダグダでも。「姿麗人」は、もはや、スナックネーミング界の大物。「来夢来人(ライムライト)」と並んで、二枚看板と言ってもいいね。

【第2発目】「ロシア民謡系歌声喫茶で横揺れ」(採取地・不明)

「ロシア民謡系歌声喫茶で横揺れ」
「ロシア民謡系歌声喫茶で横揺れ」

「歌う酒の舎(やど)」と書いて、「カチューシャ」と読む。うん、キマった。でも、なんでロシア系なんだろう。ああ、女の子の頭に付けて髪の毛を留めるヤツ。アレはかわいいね。でも、この看板からはあまり色気は感じないね。歌声喫茶的なノリで、乾きもの片手に横揺れで大合唱だよ、きっと。「昼カラ」主体で、酒なんかほとんど出なかったりしてね。でも、いいんだよ、みんなが楽しければ。

【第3発目】「あなたに逢う夜の夢」(採取地・不明)

「あなたに逢う夜の夢」
「あなたに逢う夜の夢」

「(あなたに)逢う夜の夢」と書いて「あやめ」と読む。この名前作れたとき、「キマった!」って、ウイスキーぐっと一杯やったんだろうね。ママさんかマスターか知らないけど。語感はともかく、意味合いもどぎついようでそうでもないあたりに、店主のセンスというか、「引っ込み思案さ」を感じるよね。最近はこういう名前の女の子ほんとうにいるのかもね。逢夜夢(あやめ)ちゃん。フツーに学校行ってるのに、夜の匂いプンプンだね。出席簿で名前呼ぶたびに先生が、前の晩のことを思い出してしょんぼりしちゃったりして。いや、妄想だよ、妄想。たぶん、この店、デザートがうまいよ。

【第4発目】「エスカルゴと読ませないところが伝々夢詩」(採取地・八王子)

「エスカルゴと読ませないところが伝々夢詩」
「エスカルゴと読ませないところが伝々夢詩」

伝々夢詩(でんでんむし)。当て字にしそうにないところを狙ったことに意味があるね。かたつむりなんてわざわざ漢字当ててポエムにすることもないだろうに。昆虫系苦手なんだよ、俺。 伝々夢詩と書いて「エスカルゴ」と読む。あ、これのほうがいいね。オイリーでフードがおいしそう。でも、たぶん、このお店のマスターは文学青年だね。「夢の詩を伝える」。うん、そういうことなんだよ。でも、それほんとうにやったら文学超えて、ちょっと心配だね。俺も夢のなかで浮かんでいた詩を起きた瞬間にメモして取っておいたことある。次の日に見たら、あまりにも意味わからなくて、丸めてゴミ箱に捨てたけどね。でも、ポエム聞きながら飲むホワイトマッカイは、そう、おいしいんだよ。

【第5発目】「おかんが夢を恵んでくれる店」(採取地・不明)

「おかんが夢を恵んでくれる店」
「おかんが夢を恵んでくれる店」

「母の恵みの夢」と書いて「ぽえむ」と読む。最初はなんでこんな名前を、と思ったんだけど、瀬戸内に同じ名前のお菓子が売っているんだって? でも、なんかスナックに「母」は嫌だな。おかあさんの前でタバコ吸ってもおいしくないみたいな。エロ本見つけられて部屋の隅で泣かれたみたいな。スナックのママが母代わりって言ったって、帰りにはしっかりおカネ取られるしね。

【第6発目】「不思議な当て字の不思議な世界」(採取地・福島)

「不思議な当て字の不思議な世界」
「不思議な当て字の不思議な世界」

「吉好一」とかいて「よしよしわん」と読む。もう規則性も意味もさっぱりわからんです。とにかく、こういう名前を付けたかったっていう勢い重視のお店。店主はたぶん、地元じゃインテリで鳴らしたダジャレ好きのマスターなんだろうけど、これがママさんだったら、ますます不思議な世界だよね。どうしてこういう名前にしたの? って、水割りなめながら真顔で聞いてみたいもん。「なんですか? よしよしわんって」。

ということで、今週の「スナック珍名さん」、いかがでしたか?

みなさんも、この企画が続くように、ぜひ街の珍名スナックを投稿してください。

それでは、ハバ・ナイススナック!

*注 この企画はあくまでも公に公開されている風景としてのスナックの看板および名前を味わうための企画です。採取した時期もさまざまですので、現在も存在しているかどうかは不明です。また、実際のお店の状況には責任を負いませんので、個人の責任にてお楽しみください。

全国スナック名称研究会では、読者のみなさんが発見した「珍名スナック」の看板画像を募集しています。寄稿フォームかメール(toko@j-town.net)で、ペンネームと発見場所、あなたの年齢(20代、30代など大まかで結構です)、性別、職業を明記してお送りください。ツイッターのハッシュタグ「#全ス研」でも受け付けます。なお、いただいた投稿の一部を改変・編集する場合があります。あらかじめご了承ください。

中丸謙一朗

今回の筆者:中丸謙一朗(なかまる・けんいちろう)

コラムニスト。1963年生。横浜市出身。『POPEYE』『BRUTUS』誌でエディターを務めた後、独立。フリー編集者として、雑誌の創刊や書籍の編集に関わる。現在は、新聞、雑誌等に、昭和の風俗や観光に関するコラムを寄稿している。主な著書に『ロックンロール・ダイエット』(中央公論新社、扶桑社文庫)、『車輪の上』(枻出版)、『大物講座』(講談社)など。好きなアーティストはジム・モリスンと宮史郎。座右の銘は「物見遊山」。全国スナック名称研究会代表。日本民俗学会会員。
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