「顔柱」がお出迎え... 大阪・道頓堀ホテル前に「四体像」がある理由
大阪市営地下鉄「なんば」駅から徒歩3分の宿泊施設「道頓堀ホテル」(大阪市中央区)は、正面玄関に少し変わった像を置いている。
ツイッターやネット掲示板では、「ちょっと怖い」「謎のオブジェクト」などと注目を集めている。なぜホテルの正面玄関にあるのか、しかも4つも――。Jタウンネット記者がホテルに聞いてみると、意外な事実が明らかになった。
東洋人、アフリカ人、アラブ人、西洋人
ツイッターで2017年5月19日、「四体像」の写真に「大阪のホテルが、ちょっと怖い。w」と添えて投稿されたツイートは、まとめサイトに取り上げられ「シュールですねー」「巨大な彫像のドヤ顔」と反響を呼んだ。
公式サイトによると、道頓堀ホテルは1970年、アジア初開催となった大阪万博で沸き立つ時期に創業し、世界中から観光客を引き寄せた。「四体像」が設置されたのは1991年。左から東洋人、アフリカ人、アラブ人、西洋人を表しており、「世界中のお客様をおもてなししたい」との想いを込めているという。
訪日外国人は数年前と比べ、増加傾向にある。大阪・ミナミでは特に、インバウンド需要が高まっている。
外国人は日本の文化に触れたり、「おもてなし」を体験したりすることを求めている――。公式サイトによると、道頓堀ホテルはそう考え、日本の四季や食文化、伝統行事を伝えるイベントを実施している(着物の着付け、たこ焼き、お好み焼き、握り寿司、餅つきなど)。30カ国以上の通貨を両替できるよう対応し、ムスリムのためにハラルに認定された食品で朝食を作ったり、祈り用のマットを用意したり、国ごとの慣習にも気を配っている。
「四体像」設置の背景には、こうした想いがあったのか――。Jタウンネット記者は2017年6月7日、道頓堀ホテルの総務課に確認してみた。
ほぼ100%、日本人の観光客
――なぜ、この四体像を設置したのですか。
「1991年、とりあえず四体像を設置しました。ですが、その時から外国人の観光客が多かったわけではありません。ほぼ100%、日本人の観光客が宿泊されるビジネスホテルでした」
――そうだったのですか......それは驚きです。
「転機は10年くらい前でした。価格競争で宿泊の平均単価は下がり、このままやと厳しいな、と言うてた時です。専務がインバウンドに特化していこう、と言いはったのです」
専務とは、同ホテルを運営する「王宮」(大阪市中央区)の橋本明元・専務取締役のこと。毎月のように海外を飛び回り、忙しくしているという。
「専務が海外へ出張し、日本の旅行会社を通さずに観光客を誘致する。うちはそうして外国人観光客の宿泊数を増やしてきました」
この「4~5年くらい」で、ハラル認定の食事を用意するようになった。像が設置されてから25年。世界中の観光客をもてなしたいという原点に立ち返っていた。