2016年、閉店した全国のお店たち...渋谷パルコから靴のオットー、ひょうたん書店、マルカン、etc
京都の清水寺が発表する、その年の世相を漢字ひと文字で表す「今年の漢字」、2016年は「金」が選ばれた。リオ五輪の金メダルにちなんで選ばれたとのことだ。
Jタウンネット編集部が今年を振り返ってみると、「閉」だったのではないか......、そんな気がする。つまりそれほど、「閉店」を知らせる話題が多かった。とくに地方の大型商業施設の閉店は、多くの人に衝撃を与えたようだ。
Jタウンネットで取り上げた記事をとおして、今年の「閉」を思い出してみ よう。
「閉店する」と20年間言い続けた、あの店も......?
2016年1月28日、こんなショッキングなニュースが鳥取県米子市から流れた。
米子の「やよいデパート」閉店! 「思い出が...」「よなご大丈夫か」市民から嘆き
「やよいデパート」は1970年に開店し、隣接する「米子高島屋」とともに米子を代表する大型店として親しまれてきた。ところが、郊外型大型店の出現による競争激化などで売り上げが減少し、テナントの撤退が続出、低迷を続けていた。その「やよいデパート」が、裁判所に破産を申請し営業を終了したのだ。
一方、2月上旬、大阪からはこんなニュースが飛び込んできた。
閉店セールでおなじみ、大阪の「靴のオットー」が20日で本当に閉店...客や取材が殺到で連日の大盛況に
閉店すると言い続けて20年以上、人々に親しまれてきた大阪市北区西天満の名物店「靴のオットー」が、2016年2月20日、本当に店を閉めることになったのだ。
2月中旬、鹿児島から突然、老舗書店の閉店を知らせるニュースが......。
鹿児島のオタクを支えた本屋「ひょうたん書店」突然の閉店...駆け付けた客からは涙も
これは出版取次会社・太洋社の自主廃業の影響だったようだ。ツイッターには、「今までありがとう」「感謝でいっぱいです(涙)」という声があふれていた。
それと前後するように、今度は茨城県つくば市の友朋堂書店が、運営する3店舗をすべて閉店したという記事を取り上げた。
つくばの名物本屋が突如閉店...「友朋堂ロス」に襲われる人続出! 地方書店はこれからどうなるのか
こちらも鹿児島の「ひょうたん書店」と同じ出版取次会社の自主廃業が原因だったと見える。出版業界の不況は想像以上に深刻だ。
岩手の「マルカン」は閉店→復活への道も
出版業界だけではない。2月25日には、宮城県仙台市から大手スーパーの閉店を知らせるニュースも流れてきた。
3・11直後にも営業...ダイエー仙台店、8日で閉店 地元から惜別と感謝の声あふれる
仙台市青葉区のダイエーが3月8日に閉店し、イオンが12日に改装開店するとのこと。イオンは昨年9月以降、全国のダイエー店をイオングループの事業会社に移管しているが、東北にあった唯一のダイエー店舗が姿を消すことになった。
岩手県花巻市のマルカン百貨店閉店のニュースも、大きな衝撃を広げた。
「10段ソフトはどうなるの...」 花巻・マルカン百貨店6月閉店に、地元悲嘆 ...
「マルカン」最大の人気は、昭和レトロの雰囲気が漂う展望大食堂。高さ約25センチの特大ソフトクリーム、スパゲッティナポリタンの上に豚カツがのった「ナポリカツ」が有名で、花巻市民はもちろん観光客からも愛されていた。惜しむ声が多かった。
マルカン百貨店、最後の日...43年の歴史に幕、名物「展望大食堂」には行列が
6月7日夜、43年の歴史に幕を閉じ、多くの人々に名残りを惜しまれながら、閉店となった。
ところが、話には続きがある。最新の報道(岩手日報12月19日)によると、旧マルカン百貨店6階大食堂が来年2月に復活するという。ネット上で寄付を募るクラウドファンディングの活用、コスト見直しなどで資金調達の課題も解決されたとのこと。
暗くなりがちな一連のニュースの中では、数少ない明るい話題だ。
「閉店」のニュースは、まだまだ続く。
7月、岡山市中心部にある大型商業施設「イトーヨーカドー岡山店」が来年2月末をめどに閉店すると、山陽新聞から報じられ、話題となった。
「イトーヨーカドー岡山店」閉店、地元「やはりイオンモールの影響が...」「噂には聞いていたが...」
流通大手セブン&アイグループのイトーヨーカ堂は、2017年2月までに不採算の全国20店を閉鎖する方針だ。岡山店が閉店すると、岡山県からはイトーヨーカドーが全て姿を消すことになる。
流通業界の閉店ラッシュは、大手百貨店にも波及していた。8月2日、セブン&アイホールディングスは、茨城県つくば市にある西武筑波店を来年2月末で閉鎖すると発表した。
筑波西武が閉店! 「中心部唯一の本屋が」「茨城に2店しかない百貨店が」
「筑波西武が消えれば茨城県内の百貨店は水戸の京成百貨店のみになる」「柏そごう、筑波西武と馴染みのあった店が消えて行くな」という感想だ。地方の百貨店は徐々に消えつつある。
東京でもあの渋谷パルコが
東京都心でも、ある象徴的な出来事があった。1973年に開業し、ある時期、若者文化の発信地だった渋谷パルコが、2016年8月7日、閉店した。
「またお会いできる日まで...一度さよなら!」 渋谷パルコ閉店から一夜、懐かしむ声が続々
渋谷PARCOは2019年に、現在よりも大幅に延床面積を増やした地上20階、地下3階建てのビルとして再建される予定だ。
9月7日、三越伊勢丹ホールディングスは傘下の三越伊勢丹が運営する、千葉市の三越千葉店を2017年3月20日をめどに閉鎖すると発表し、千葉市民には大きな衝撃が走った。
千葉パルコは11月末すでに閉店。ツイッターには、「千葉駅のリニューアル開業もあり、中心部の空洞化がいっそう酷くなりそうだなぁ」という声も多い。
同じ千葉県の柏市では、「そごう柏店」が9月30日閉店した。
そごう柏店、43年の歴史に幕...迎えた最後の日に「お疲れ様でした」
43年間営業を続けた百貨店の閉店に、市民からは感謝の声が上がった。千葉県内の流通業界には、閉店の嵐が吹き荒れた1年だったと言える。
千葉県のお隣り、埼玉県さいたま市大宮区からは、こんな閉店のニュースも流れた。
ラーメン二郎大宮店が30日で閉店へ...別れ惜しむジロリアン、連日の行列
大宮の老舗ゲーセン「オリンピア」が12月18日で閉店へ...地元ファンから ...
「ラーメン二郎」と老舗ゲーセンの、立て続けの閉店。主に若い世代から、大宮の街が寂しくなるとの悲鳴が相次いだ。
新しくできるお店もあれば、その歴史を終えるお店もある。当然のこととはいえ、「閉店」のニュースは、地元の人たちの思い出もまとって、一度も行ったこともないような人間も寂しくさせる。