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「きのこ・たけのこ戦争」が、まさかの襖絵に! 異色の日本画の作者に話を聞いてみた

松葉 純一

松葉 純一

2016.08.07 11:00
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「どなたの作だろう?」という興味も出て......

きのこ本堂に火が放たれたシーン(葛西由香作「明治物語」より)
きのこ本堂に火が放たれたシーン(葛西由香作「明治物語」より)

ツイッターには、この作品に関して、こんな声が寄せられている。

「たけのこ陣営の私がきのこ陣地のど真ん中に投げ飛ばされた感」「この襖絵がこぢんまりとした寺院にあったら......と想像すると楽しい」といった感想だ。「どなたの作だろう?」という興味もあるようだ。

傷つき倒れた、きのことたけのこ(葛西由香作「明治物語」より)
傷つき倒れた、きのことたけのこ(葛西由香作「明治物語」より)

そこでJタウンネット編集部は、この作品と作者について調べてみた。

「500m美術館」で開かれている展覧会は、「いつかきたみち、こどもみち」。子供から大人まで本気で「遊ぶ」ことを考えてみたくなる企画だという。札幌を中心に活躍する10数名のアーティストが参加している。

きのこ・たけのこ戦争を描いていると話題の作品名は「明治物語」。作者は葛西由香さんだ。1993年北海道網走市出身、2016年札幌大谷大学芸術学部美術学科日本画コース卒業というから、まだ23歳!大学を卒業したばかりという若きアーティストである。2013年「道展U21」中里賞、2016年「札幌大谷大学卒業制作展」芸術優秀賞受賞とのこと。

戦いの最前線(葛西由香作「明治物語」より)
戦いの最前線(葛西由香作「明治物語」より)

以下は、Jタウンネット編集部から葛西由香さんへの、メールによるインタビューだ。

――作品「明治物語」は、どんなきっかけで誕生したか?

葛西さん 大学の卒業制作です。今まで学んできたこと、研修で見てきた京都の寺院や画材の歴史、そのすべてを何度も咀嚼・反芻した結果、昔ならではの襖絵として表現することに決めました。現代に生きる自分だから描ける日本画は何か考えた結果、「明治物語」が誕生しました。

――今回の襖絵制作にあたっての狙いは?

葛西さん 現代日本画の定義のあやふやさに対する問題提起を含ませています。今は日本画の画材を使っていれば何を描いても日本画と認識されてしまうところがあります。油彩画と見境いのない日本画を見かけることも多く、その度日本画である意味についてつい考えてしまうのです。

 ですが何より一番大切にしているのは、純粋に単純に、おもしろいと思ってもらえる作品であることです。日本画に興味を持ってもらえるきっかけになるといいなと思っています。

たけのこ本堂へと続く竹藪(葛西由香作「明治物語」より)
たけのこ本堂へと続く竹藪(葛西由香作「明治物語」より)

――500m美術館の会場での反応は?

葛西さん モチーフがモチーフ(きのこたけのこ)なだけに、若い世代のリアクションを予想していたのですが、思いの外ご年輩の方々が足を止めて見てくださっていたことは嬉しい発見でした。あとは、きのこたけのこの位置がちょうど子どもの目線の高さにあるようですぐに気づいてもらえます。指をさしてお母さんと何か話をしている姿を見かけた時は、どんな話をしていたのか気になりました。どれも多様な人が行き交う地下鉄構内の展示ならではの発見です。

――SNS等での今までの反響をどう思うか?

葛西さん 予想外の出来事にびっくりしましたが、作品がたくさんの方に受け入れてもらえたように感じとても嬉しいです。今後の励みになります。

作品のどこかにひとつだけ「たけのこを被ったきのこ」がいる(葛西由香作「明治物語」より)
作品のどこかにひとつだけ「たけのこを被ったきのこ」がいる(葛西由香作「明治物語」より)

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