「お米うるかしといて」「え?」...実は標準語ではない不思議な言葉「うるかす」、その分布を徹底調査
標準語では簡単に表すことのできない、生活や文化に根付いた表現が方言には数多く残っている。そんなかゆいところに手が届く言葉の1つである「うるかす」は、「お米を水に漬けて水分を吸わせる」という意味の言葉で、主に東北や北海道で使われている。
Jタウン研究所は「『うるかす』などの言葉、使いますか?」をテーマに、都道府県別のアンケート調査を行った(総投票数440票、2015年3月24日~2016年 6月13日)。
はたして、その結果は――。
やはり中心は北日本
「うるかす」は「潤かす」とも表記し、上述のお米に水分を吸わせるという意味以外にも、単に「水に漬けておく」という意図でも使える。そのため、「お米うるかしといて」、「使ったお茶碗うるかしといてね」など、日常に即した使い方が出来る。標準語になったとしても使い勝手は良さそうだ。今回の調査では、同様の使われ方をする「かす」と「ひやかす」についてもアンケートを行った。
そんな「うるかす」と、それに類する言葉の使用状況を集計したのが、以下の分布図だ。投票率を段階ごとに分けて色分けを行い、数は少なくとも投票があった地域に関しては「報告あり」という形にまとめた。
まずは「うるかす」の分布図だ。全国的に使用者が居るが、やはり北海道・東北での使用率が著しく高い。それ以外の地域でもオレンジ色の場所が複数あるのが特徴だ。候補に合った言葉の中では標準語最有力候補だろう。
こちらは「うるかす」を略した「かす」の分布図だ。使用する地域は一気に減るが、「うるかす」を使っていた地域と重なっていることが分かる。
「ひやかす」の分布は特徴的で、中部・北陸地方に集中していた。
これらの結果から、「お米を水に浸して吸水させる」という意味の言葉は全国規模で使われていることが分かった。ふやかすほどではないし、浸すでは言葉が足りない。そんな状況を埋められる「うるかす」は、標準語としての未来もあるのかもしれない。