注射器ペンに「世界の国旗」下敷き...マニア垂涎?な三鷹のレトロ文具店に行ってみた
ロケット鉛筆、ねりけし、クーピーペンシル――。そんな「かつて大流行した文具の現在」を取り上げた先日の記事。その中で明らかになったのは、ブームが去った後もほとんどの商品が製造・販売を続けているという事実だ。
裏を返せば、現在でもそれだけのニーズがあるということ。実際、東京・三鷹にはそういった「レトロ文具」をメインに取り扱う専門店が存在している。「どこか懐かしくて味のある、ストーリーを持つ文具たち」をコンセプトとするセレクトショップ「山田文具店」だ。
今回はJタウンネット編集部が実際にその店舗に赴き、思わず「懐かしい!」とうなってしまいそうな商品を探してみた。
大量のレトロ文具に目移りしてしまう
三鷹駅南口から徒歩5分ほど、産業プラザの1階にある山田文具店。店内には、「チューブのり」や「教育おりがみ」など、レトロな雰囲気の文具を中心にバラエティ豊かな商品が所狭しと並んでいた。
さっそく目に留まったのは、差し替え式色鉛筆とも呼ばれる「クリスタルポケットカラーペン」。本体に内蔵されている色のついた芯をペンの先端に入れ替えて使うもの。実用性はともかくとして、1本で20色をまかなえる多機能ぶりに惹かれた子どもが多かったという。
続いて見つけたのは、70年代にヒットした「注射器型シャープペンシル」。山田文具店では、注射器の形をしたボールペンや蛍光マーカーも取り扱っているそうだ。
世界の国旗がデザインされた下敷きも。90年代に学生時代を過ごした人ならば、1クラスに誰か1人は使っていた気もする定番商品。
短くなった鉛筆に差し込んで使う、ステンレス製のペンシルホルダーも懐かしい。
そのほかにも、黄色い顔に赤い帽子型のキャップが印象的な「どうぶつのり」や、両端を削って使う赤と青の「2色鉛筆」など懐かしい商品がいくつも見つかった。しかし、店主によれば「実は、こういった昔からの定番ブランドは、いまや驚くほど新しい取り組みを行っているんですよ」。
「懐かしい」チューブのりだと思いきや...
――それはいったい、どういうことなのか。さっそく、その実例を見せてもらった。
上の画像にあるのは、サクラクレパスが取り扱う雑貨類だ。左下のものは、クレパスの形をそのまま再現した消しゴム。右下にあるのは、クーピーのパッケージをデザインしたメモ帳だ。
また、奥に見えるのは大阪のテキスタイル会社とコラボしたクレパス形のタオル。実は、サクラクレパスはこういった他社とのコラボを積極的に行っており、なかには「クレパス風ラムネ」といった驚きの商品も。
上の画像、ひと目には昔懐かしいチューブのりのように思える。だが、その中身はハンドクリームなのだという。これは、「フエキのり」で知られる老舗の不易糊工が手掛ける公式の商品だ。
記者が店舗を訪れていた際も、これらの商品が並ぶ棚の前で立ち止まり、手に取ってまじまじと眺めているお客が。店主曰く、ただレトロな商品だけでなく「お客様に少しでも『面白い』と感じてもらえる商品」を選んで仕入れているそうだ。
ロングセラーブランドだからこそできる「新しい」レトロ文具。その一方で、ロケット鉛筆やねりけしなど、ただその火を絶やさないように製造を続けるレトロ文具もある。これは「定番」になれた文具となれなかった文具、その明暗を象徴しているのでは――そう1人思いを馳せる記者であった。
(参考:ねりけし、バトエン、ロケット鉛筆...「懐かしい!」あの文房具、今でも手に入る?/電卓にデスクランプ? あの頃流行った「多機能筆箱」の進化がスゴすぎる...「懐かし文房具」のいま)。