若きヒトラーの手紙も...池袋で開催中の「ホロコースト展」に行ってみた
池袋駅前の東京芸術劇場で、「勇気の証言―ホロコースト展 アンネ・フランクと杉原千畝の選択」が開催中だ。本邦初公開の資料も展示されるなど、歴史ファンにも興味深いこの展覧会に、Jタウンネット編集部もさっそく出かけてきた。
走り書きで書かれた「命のビザ」
エスカレーターを上って5階の会場に向かうと――。
来場者を、2人のポートレートが迎える。「アンネの日記」で知られるアンネ・フランクと、ビザ発行で多くの避難民を救い、「ユダヤ民族の間で長年『ヒーロー』として尊敬されている」(共催のサイモン・ウィーゼンタール・センター、アブラハム・クーパー副所長・談)日本人外交官・杉原千畝だ。
会場にはこの2人ゆかりの品や、収容所での悲惨な迫害などを伝える遺品などに加え、ナチス登場以前の反ユダヤ的言説の歴史などもパネルで解説され、ホロコーストにいたる歴史の流れを追うことができる構成になっている。
複製ではあるが、あの「命のビザ」も。走り書きで記された文字は、1人でも多くの人にビザを発行しようとした思いを感じさせる。
ヒトラー30歳、すでにユダヤ人「除去」を決意
歴史好きな記者としては、日本初公開となるアドルフ・ヒトラーの書簡に目を惹かれた。
1919年9月16日付、ヒトラーは30歳。この手紙にはすでに、「ユダヤ人の除去」という思想が記されている。
第1次世界大戦から復員し、軍の諜報員として働いていたヒトラーはこのわずか4日前、ナチスの前身となる小政党「ドイツ労働者党」と出会い、10月に入党を決意する。一介の兵士から、独裁者への道を歩み始めたまさにその瞬間の手紙だ。
展覧会は2015年10月13日まで(各日10~21時)。