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水都・大垣のデータセンターには、ちょっと意外な設備があるらしい

竹内 翔

竹内 翔

2015.08.19 17:00
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「日本一社員が幸せな会社」として知られる、未来工業。そのグループ会社に、インターネットサービスプロバイダー、レンタルサーバー・データセンター事業を手掛ける、「ミライコミュニケーションネットワーク(以下ミライネット)」というIT企業があるのをご存じだろうか。このミライネットが2015年8月にオープンする新しいデータセンター(以下「MiraiDC2」)に、エンジニアが泣いて(?)喜ぶ施設があると耳にして、訪ねてみることにした。

ミライネットがあるのは、岐阜県大垣市。「大垣夜行」「ムーンライトながら」の終着駅・大垣駅もあり、「青春18きっぷ」で首都圏から関西方面に旅行したことがある人にとっては非常になじみ深い。東京と大阪の中間地点で、交通の要所でもあるこの地には、岐阜県が整備を進めるIT産業団地「ソフトピアジャパン」があり、東京と大阪の光ファイバーの結節点にもなっている。郊外型のデータセンター事業にはうってつけの立地なのである。

目指すデータセンターには、大垣駅からタクシーで10分ほどで到着。
外観はモノトーンで塗り分けられたシックなデザイン。ガラスと木材をあしらったエントランスがスロープになっており、データセンターというより美術館や博物館を思わせる。

これが噂のデータセンター
これが噂のデータセンター

「地の利」を活かした環境配慮型データセンター

大垣は「水の都」と呼ばれている。揖斐川、杭瀬川をはじめとする15本もの一級河川が流れる上、豊富な地下水を蓄えており、かつてはこの地下水を活かした紡績産業が盛んであった。
もうひとつ、大垣のある濃尾平野には、冬に北西から乾いた季節風が吹きこむ。伊吹山の方角から吹くことから「伊吹おろし」と呼ばれている。

実はMiraiDC2は、この2つの地理的特徴を、環境配慮目的に最大限活用した施設なのである。水と風が、どう「エコ」に使われるのか、簡単に説明しよう。

まず水。豊富な地下水をポンプでくみ上げ、サーバー室の冷却に利用する。サーバ室からの排熱とくみ上げた冷たい地下水を熱交換装置に入れ、装置内で熱を交換する。暖かくなった水は地下に戻し、冷たくなった水はサーバー室の空調機に戻されるという仕組みだ。これにより、年間の冷却コストの50%を地下熱エネルギーで賄えるという計算である。

熱の循環モデル(概念図)
熱の循環モデル(概念図)

次に風。風とエコの関係と言うと、風車を使った風力発電がすぐに頭に浮かぶが、ここでの使い方はそうではない。一定方向の風を屋内に取り込めるように角度をつけた外壁を設け、外気冷房に使うファンの動力とするのである。

これら2つの「地の利」を活かしたシステムと、空調の効率を高めるために採用した「サイドフロー空調」により、MiraiDC2は日本データセンター協会が認定する「環境に優しいデータセンター」基準で、もっとも厳しい「レベル3」を満たしている(認定審査は2015年8月20日以降に開始)。

エンジニア向けに極上のホスピタリティ

もちろん、環境配慮設備だけではなく、地震、洪水、液状化といった防災対策においても厳しい基準を高度に満たしているMiraiDC2であるが、ひときわ興味を引く、データセンターとしては「世界初」の施設がある。――「足湯」だ。

畳敷きの小上がりの向こうに見える扉の先には...
畳敷きの小上がりの向こうに見える扉の先には...
なんと足湯が!
なんと足湯が!

なんのシャレかと思う向きも多いだろうが、この足湯は、ミライネットがデータセンター内で作業をする顧客のエンジニアに対して用意した「ホスピタリティ」なのだ。
通常、データセンターというのは殺風景でだだっ広い空間に、人間には寒すぎる室温が設定され、さらにサーバーや空調が動作音を発し続ける――という過酷な労働環境である。そこで、ミライネットがエンジニアが快適に作業ができるようにと考え出したのが、前述の熱交換システムで暖かくなった水を、足湯に使うというアイディアである。

実際に浸かってみたが、それはもう当たり前だが気持ちが良い。データセンターで足湯に浸かるという非日常が、いくばくかの背徳感と共に代えがたい安らぎを与えてくれる。仕事で缶詰めになっているエンジニアにとっては、これ以上のリフレッシュはなかろう。

足湯に浸かるエンジニアたち。完全に癒されている。
足湯に浸かるエンジニアたち。完全に癒されている。

実は、「地下水」「伊吹おろし」と「足湯」を合わせたアイディアは、環境省と経済産業省から補助事業に採択されたもの。環境配慮型であるだけでなく、自社のエンジニアたちが気持ちよく仕事ができるデータセンターと聞けば、サーバーの新設・移設を検討するIT企業の経営者たちが、候補に加えること間違いなし、である。

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