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折り返し乗車もルール上OK 大阪市営地下鉄は「乗車駅と降車駅さえ合っていれば、どのような経路でもいい」...なぜ?

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.07.31 06:00
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東急東横線・みなとみらい(MM)線の横浜駅で、渋谷駅方面の上り列車に座りたい乗客の一部が、MM線のみなとみらい駅などまで下り列車に乗り、ホーム向かいの上り列車に乗り換えて着座する――いわゆる「折り返し乗車」が問題となっている。
こうした事例は各地で起こっており、2014年10月の記事(満員列車の敵「折り返し乗車」、横行路線はここだ!)では、この行為が横行する10路線を取り上げた。

ところがJタウンネットが取り上げた路線の1つ、大阪市営地下鉄御堂筋線の新金岡~なかもずについて、読者から次のような投稿をいただいた。

「おかしいやろこれ!
新金岡となかもず間当該区間の定期券を持っていなくても不正乗車になりません。新金岡~天王寺間の定期券でもなかもず駅へ向かっても規定上合法です。鉄道事業本部運輸部運転課の公式回答でした。特にアナウンス等もすることはなく、大阪市営地下鉄は折り返し乗車した人が得をする仕組みになっています。並ぶだけ損です」

乗車駅と降車駅さえ合っていればOK

多くの鉄道会社では、折り返し乗車を認めていない。寝過ごしなど過失による場合は見逃してくれることも多いが、規則上はNGだ。駅員さんに見とがめられた場合は、区間分の運賃を払わなければならない。
なのに大阪市営地下鉄では、それがルールの上でも許されるというのだ。そんなことがあるなんて――編集部は大阪市交通局の案内センターに確かめた。結論は読者の指摘通りだった。

「なかもず駅の改札を出ないなら――折り返し乗車は構いません。乗車駅と降車駅が合っていれば、どのような経路でもいいことになっています」
大阪市営地下鉄の路線図(編集部作成)
大阪市営地下鉄の路線図(編集部作成)

担当者によると、「大阪市高速鉄道及び中量軌道乗車料条例施行規程」の第54条を根拠に折り返し乗車が認められる。

「(乗車券の効力)
第53条 乗車券は、乗車人員及び乗車回数を記載したものを除き、1券面をもつて1人が1回に限り、その券面表示事項に従つて使用することができる。ただし、定期券及び共通一日乗車券については、その使用回数を制限しない。
(乗車券の効力の特例)
第54条 乗車券は、次の各号に掲げる場合は、前条の規定にかかわらず使用することができる。
※(1)~(3)は省略。
(4) 定期券を使用する乗客が途中乗降することなく、指定経路外を乗車する場合」

このルールを知っている人の中には、なかもず駅で折り返し乗車をする人もいる。
その光景を見た他の乗客から「これ、どうにかしてくれる?」と対応を求められることがあるそうだ。

「規程上許されている以上、折り返し乗車行為を止めるよう呼びかけることはできません。これ以上は利用者の皆様のマナーの問題としか......」

規程と現実のはざまで苦慮している様子が電話越しにうかがえた。

他都市の規程・運用はどうなっているか

地下鉄の折り返し乗車は他都市でも認められているか――。札幌、仙台、東京(都営)、東京メトロ、横浜、名古屋、京都、神戸、福岡の各事業者に念のため、同じ質問をした。

結論からいうと、大阪と同じルールを採用している都市はなかった。いずれも「券面表示の区間を乗り過ごした場合、改札を出なくても追加料金が発生します。たとえ区数=料金が一緒でもダメです。そのように利用される場合は、購入時に実際に利用する経路を指定してください」とのこと。

ただし、テレホンセンターのオペレーターおよび某終着駅の駅員が「大丈夫ですよ」と回答したものの、次に交通局本部に見解をただしたところ、「間違った案内を差し上げたようですが、本当はダメです」と回答した都市が1つだけあった。
現場が独自に解釈しているのではなく、電話に出た人が誤解をしているだけと信じたい。

車内検札を実施したり、ホームにいる乗客の切符または定期券を確かめたりするところは、冒頭のMM線を除けばほとんどない。
鉄道事業者の努力に限界があるのは明らかで、最終的には利用者の良識にかかっている。

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