こんなに違いが!? 日本海側は「胃がん」、西日本「肝がん」、北東北「大腸がん」...発見率でわかる地域差
独立行政法人・国立がん研究センターは、悪性腫瘍=「がん」の地方別傾向について分析結果を2015年3月26日に発表した。2011年に「がん」と新たに診断された約85万人のデータを集計し、主要部位ごとに「がん」のなりやすさを都道府県単位で算出している。
患者の割合が公表されたのは39道府県。宮城・埼玉・東京・静岡・大阪・福岡・宮崎の7府県はデータを提出せず、また鹿児島は精度が正確ではないため除外されている。来年発表分から47都道府県のデータが揃う予定だ。
胃がん
かつて「がん」の死亡率で男女とも1位だったのは「胃」だった。現在は男女とも2位になっている。
県別の罹患率は、秋田から島根に至る日本海側で全国平均を上回る。南関東と熊本は90未満となっている。
大腸がん
遺伝の影響が大きいと言われる大腸がん。罹患率・死亡率とも男性は女性の2倍あるのが特徴だ。
全国平均を大きく上回るのが青森・岩手・秋田の3県。同じ東北でも福島は全国平均を大きく下回る。
肺がん
最新の調査によると、日本人喫煙者の肺がんリスクは男性で4.8倍、女性で3.9倍になるという。
がん研究センターの調査によると、成人喫煙率の高い県トップは男性が青森で、女性は北海道だった。肺がんの罹患率を図にした下の表も、その実態を反映しているように見える。
肝がん
肝がんの約90%は幹細胞がんが占める。そのほとんどは肝炎ウイルスが発生要因と言われる。地方別に見ると男女ともに西日本の罹患率が高い。東日本では山梨が突出して高い。地域差ががはっきり現れる種類のがんだ。
乳房・子宮がん
肝がんほどはっきりした地域差は見られない乳房・子宮がんだが、群馬・長野・広島・愛媛の4県で罹患比が高い。
現時点ではデータ精度に都道府県格差がある。あくまで、大まかな地域差の傾向として捉えておきたい。
また早期に発見された「がん」も含まれているので、罹患率の高い一方で死亡率の低い県もある。長寿県の長野はその好例といえる。