ファンドも注目、成長遂げる「道の駅ポータルサイト」みちグル
ゴールデンウィークまであと約1カ月、春は道の駅の開業が相次ぐ季節だ。2015年3月は愛知県と広島県で2カ所、4月は千葉県・福井県・静岡県・宮崎県で4カ所それぞれ開駅する。
道の駅は全国に1040登録されていて、さらに全国各地で開設計画が進んでいる。ところが統括する国交省のウェブサイトには基本的な情報しか載っていない。営業時間や場所、駐車場の台数などの各種データはあるものの、グルメ情報となるとやや弱い。
XS(大阪市北区)が運営する「みちグル」は、グルメの口コミ情報数で日本一を誇る道の駅のポータルサイトだ。
会員から寄せられたコメントや評価点の平均を掲載し、駅によっては2ケタの投稿がある。道の駅巡りを考えている人にとって参考になる情報が集積している。会員数は約3000人で、月間PV数は約10万。
口コミ数と丁寧な現地取材が強み
同社代表取締役・柴田敬介さんによると、最も人気の高いページは月1回のペースで更新される特集記事だそう。道の駅を直接取材するだけでなく、直売所で売られている特産品の生産者にも直接会う。"良質な食材を消費者に届けたい"という彼らの思いや、おいしい食べ方のコツなどを紹介している。
「『鮎の里矢田川』(兵庫県香美町)を取材したとき、駅長様は最初無愛想で話しにくかったんですが、徐々に私たちの事業を理解していただき、最後には慣れない携帯を使って、みちグルにアクセスいただきました。
そのとき携帯のGPS設定がOFFになっていて、なにも見られず2人で四苦八苦したことも(笑)。
最終的には応援していただき、取材でも食べきれないほどの食事をお出しいただきました。しかも鮎がこの上なくうまかったです」
「最近取材した香川の農家の方が、『アスパラ農家は特に大変、毎日収穫する必要があるから休みも無いし、毎日が試行錯誤。だけどそれが楽しくて、ずっと続けている。気付いたら20年アスパラばっかり作っている』とおっしゃっていたのが印象的でした。農業を心から楽しんでいらっしゃるなと」
柴田さんは元々証券会社の営業出身。会社員時代に培った開拓力を活かし、全国各地の道の駅を巡っている。
生の声とともに届けるグルメ通販サイト
兄弟サイトの「みちグル市場」は、スタッフが取材等で出会った道の駅の逸品を販売している。
単品から購入可能だが、「みちグル定期便」は、1カ月3980円(初回は1980円)で柴田さんらが厳選した食材が宅配で届く。
「この定期便は、地方のまだ知られていない『食との出会い』を感じることができる点が好評です。旬の商品をもっとも美味しい場所からお届けしています。スタッフが実際に地方を回って、生産者の取材をし、生の声とともにお届けします」(柴田さん)
売れ筋の商品について尋ねたところ、以下の商品が売上の上位で、カテゴリーでは魚介類・お菓子が人気とのこと。
年間で約5億人を集客する道の駅。年間の総売上高は3500億円に達する。人気の駅は平日でも大勢の客で賑わうが、一方で集客に苦戦しているところも少なくない。指定管理業者をコロコロ変えているところもあるなかで、みちグルのようなポータルサイトの役割は大きい。
2年目に入りサイトを強化するため、XSはこの3月にだいしん創業支援ファンド「"この街のホームドクター"」から1000万円の資金調達を受けた。
「みちグルのサイト強化は既にほぼ完了しています。みちグル市場の方にこれから取りかかるのですが、サイト全体のデザイン変更とみちグル定期便のランディングページを大幅に改変し、魅力がもっと伝わるようにしたいと思っています」(柴田さん)
創業支援ファンドから評価された点は、事業開始から現段階までの事業進捗や大手企業との連携などのスピード感だったそうだ。
Jタウンネットの取材に対し、柴田さんはやる気をみなぎらせる。
「これからどんどん地方をまわって、地方の良さを皆様に伝えて行きたいと思います!」