北陸新幹線にも負けない! 東京~金沢のお得な「高速バス」路線を総まとめ
北陸新幹線開通に伴い、現在飛行機6:鉄道4だという東京~金沢の足事情は、鉄道8:飛行機2に激変するとJRは予想している。
新幹線VS飛行機の構図に注目する人が多いが、ここで東京~金沢の移動手段として編集部が注目したいのは、「高速バス」だ。
金沢エクスプレス号(Tokatsu Kokubuさん撮影、Wikimedia Commonsより)
新幹線の開通で影響を受けるのは間違いないけれど、利用客が大量に流出して減便・廃止を余儀なくされるのか、それとも安さを武器に利用者を増やすのか――。いくつかのデータをもとに編集部は独自予想してみた。
高速バスと新幹線の距離はほぼ一緒
下の表は、「高速バス時刻表」(交通新聞社)に掲載されている東京~富山/石川方面を結ぶ路線をまとめたもの。同じ区間で所要時間が異なる場合、一番長いタイムを掲載した。渋滞や工事、事故などの要因で変動するのは言うまでもない。
高速バスの路線は大きく分けて2種類ある。2013年8月1日からツアーバスから高速バスに格上げされた会社の路線と、鉄道会社に由来するバス会社の路線だ。今回は鉄道会社系のみ掲載した。

北陸新幹線の東京~金沢の営業キロは450.5キロだが、高速バスの実車距離も大して変わらない。金沢エクスプレス号は451キロだ。
ちなみに北陸新幹線の東京~金沢間の料金は、大人・普通車自由席で1万3600円かかる(指定席は1万4120円)。割引サービスを使えばもっと安く乗れるが、全ての座席に適用されるわけではない。
所要時間と料金を比較すると、バスは新幹線の約3倍の時間を要する。しかし片道の通常運賃で1万円を超えるケースは1つもなく、5000円以上も安い。

東京・池袋駅東口の高速バス乗り場。金沢便は午前中2本ある。新潟便は毎時。満車になることも少なくない(編集部撮影)
朝一番で北陸新幹線下りに乗った場合、金沢に着くのは8時46分。約2時間30分の旅程だ。 これに対して金沢エクスプレス7号は、新宿駅新南口を22時に出発して金沢駅前到着時刻は5時55分。市民はまだ寝ている時間だが、朝一番で行動したい人にはピッタリだ。
往復割引より片道で最安プランを狙うべし
スケジュールが決まっているなら往復乗車券がお勧めだが、便ごとに料金の異なるプランを設定し、片道でも安いプランを選べるようにしているケースが増えている。利用者の行動パターンが多様化していることに合わせたと考えられる。
注意すべき点は、夜行便の運賃に大幅な割引が適用されるケースはあまり多くないこと。鉄道や飛行機が動く朝や昼中心と考えた方がよい。
狙い目は昨年秋開設の「きまっし号」か
北日本観光自動車(近鉄グループ)と東北急行バス(東武グループ)の共同運行「きまっし号」は昨年10月に運行を開始した。ネットにアップされている複数の乗車記を読んだ限りだと、乗車率は結構高い。停留場が便利な場所にあり、こまめに客を拾えているからだろう。新車で車内が快適な点もポイント高い。

「きまっし号」の公式サイト
バス会社が多く参入している路線の1つだが、イルカ交通(富山県小矢部市)の東京~富山・高岡・砺波を結んでいた「きときとライナー」は昨年8月末をもって運行を休止している。
東海方面ほとではないにしても、多数のバス会社が参入している甲信越北陸方面。利用者獲得競争は激しそう。日によって便数も変わるので、チケットをとるときは余裕をもって予約したい。
ところで金沢ってどれくらい遠いの?
東京~金沢の距離が450キロくらいと書いたのは先述の通りだが、どれくらい遠いのかピンとこない人もいるだろう。
東海道本線の東京~米原が445.9キロなので、だいたいそれくらいと思えばいい。別の言い方をすると、有名な夜行列車「ムーンライトながら」より40キロほどオーバーしている。
日中は飛行機がお得!?
実のところ、羽田空港の近くに住んでいる人なら飛行機が便利だ。羽田~小松便は1日6往復。飛行機で移動した場合、所要時間は約1時間だ。小松から金沢まではバスで40分~1時間程度で着く。搭乗等にかかる時間を加味しても、飛行機の優位性は健在だ。
北陸新幹線開業と合わせて、JALとANAは羽田~小松便の割引運賃の値下げ幅を拡大する。75日前までの予約なら最安運賃は1万円以下。羽田~富山便も大幅に値下げされる。冬ダイヤが終わる3月29日からの夏ダイヤでも割引運賃は維持される模様。
バスで節約、飛行機で時短、新幹線で快適な旅――行きか帰りのどちらかをバスにして、帰りは新幹線or飛行機するという手も含めて、北陸行きの選択肢はさらに増えた。目的と日程に合わせて、上手く使いたい。