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福岡県警が公開中の「暴力団漫画」が相変わらず生々しい...「地元におれんごとするけんな」

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2015.01.05 19:21
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任侠映画やドラマ、コミックを観て「暴力団ってカッコいいかも...」と思ったことはないだろうか。コワモテで、権力にこびへつらわず、義理人情に厚く、弱い立場の人々を護ることすらある――ありがちな人物像だ。
しかし実際の暴力団員はそんなカッコイイものでは決してない。組織に納める上納金は重くのしかかり、組織の命令とあらば誰かを殺傷することも厭わない。

ヘタウマなイラストと地元言葉が生々しい

暴力団員である限り、平凡な幸せを享受できることは決してない――そのことが痛いほど分かる漫画「こんなはずじゃなかった・・・」が福岡県警察の公式サイトで読める。現在はパート1が公開されていて、2014年12月30日の朝日新聞デジタルによると2年間ほどで約27万件のアクセス数があったという。

「こんなはずじゃなかった・・・」(福岡県警察公式サイトより)
「こんなはずじゃなかった・・・」(福岡県警察公式サイトより)

「修羅の国」なんて、不名誉な異名を頂戴している福岡。中学校の卒業式や成人式では暴れる若者が多いことで知られるが、そうした非行少年が先輩の誘いを受けて暴力団の構成員になってしまうケースが多いようだ。パート1の主人公は、ふとしたきっかけから非行の道に走ってしまった少年。最初は優しく接してくれた先輩が実は暴力団員で、犯罪や薬物に手を染めるようになり、恋人や家族までも不幸の連鎖に巻き込んでいく......。

「こんなはずじゃなかった・・・」の3ページ目
「こんなはずじゃなかった・・・」の3ページ目

イラストの画力は決して高くない。しかし、グラデーションを一切使わないところが妙に生々しい。公開時にはネット上でも大きな話題になったので、読んだことがあるという方も多いだろう。

パート2は博多弁で組抜けを訴え

ところで、パート1は登場人物のセリフが全て標準語だった。あるいはそれが、地元から見るとリアリティに欠けるとの判断があったのだろうか。10月に公開された、現暴力団員に組抜けを勧めるパート2は博多弁になっている。
福岡の任侠の心を掴むための、制作サイドの判断だろうか。

「こんなはずじゃなかった・・・2」の4ページ目
「こんなはずじゃなかった・・・2」の4ページ目

こちらの主人公は現役の暴力団員。数年前までは夜の街で豪遊する毎日だったが、近年は警察からの締め付けのきつさ、上納金の厳しさに鬱々たる日々を送っている。ネイティブならではの福岡弁描写(「くらすぞコラ」「地元におれんごとするけんな」など)もあって、生々しさが大きく増しているのが印象深い。
それにしても、「パパ怖いよ~何でおこっとうと?」と愛する子供に泣かれたら、どんな人でもしんみりしてしまうに違いない。"単に気性の荒い人"に見えなくもないが、暴力団員は職務質問を受けやすいのだろうか。

漫画が終わった後の最後のページには、(組織を)離脱し、更生した人たちのエッセイが掲載されている。その一部を紹介しよう。兄貴分が九州弁ではないのは、関西系暴力団の下部組織だからだろうか......。

私が上納金を納めることができないで、途方に暮れていると、兄貴分から「シノギが出来んで一人前の極道か。人を殺してでも組に上納金を納めるのが、この世界や。」と罵声を浴びせられた。そして「シャブ(覚せい剤)のバイ(密売)を手伝え。そうすれば上納金は考えてやる。だがな、密売がバレたら、お前が全責任を負うのが条件やで。」と言われたのです。
ところが、密売をしても売り上げ代金は、組に全て吸い上げられたのです。
(中略)組の関係者が母の元へ押しかけ、「お前の息子がパクられた。これは組長へのヘタウチや。親として誠意を示せ。」とカネを要求していることを、面会にきた母親が涙ながらに言う姿を見て、血が激流し、自分のあさはかさを悟り、目が覚めた気がしました。(以下省略)

先述の朝日新聞デジタルは、漫画の絵本版を県内の中学、高校などに約780部配布したという。鉄は熱いうちに打てではないが、いっそ小学校の全生徒に配布した方がいいような気もする。

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