BEAMSと佐賀県のコラボ企画「STAND SAGA」で感じた「地方のポテンシャル」
東京・有楽町駅の中央口正面に1台のワゴン車がとまっている。佐賀県のプロジェクトチーム「FACTORY SAGA」とBEAMS(ビームス)がコラボしてつくったニューススタンド型セレクトショップ「STAND SAGA」だ。
2014年11月28日~12月7日の期間限定でオープンしたところ、最初の週末は女性客を中心ににぎわい、長い列ができた。
ここでしか買えないアイテムがあるという情報に接した筆者。午前9時から開店していることを知り、動き始めたばかりの朝の有楽町へ向かった。
現地に到着したのは9時20分。銀座の百貨店はまだ開店していない時間だ。通勤ピークも過ぎており、駅前は人の姿がまばら。
佐賀発の商品がこんなにポップでオシャレなんて!
円形屋根のすぐ横に店はあった。STAND SAGAのシックな色彩は街の雰囲気に合う。
ビームス総合研究所がセレクトした商品だけでなく、同研究所と佐賀県内の企業が共同開発したオリジナル商品が並ぶ。セレクトショップ御三家の1つがプロデュースしただけあって、商品の内容も見せ方も巧さが光る。
ワゴン車から2、3メートル離れた木目調のシェルフから回ることにした。
手前にある四角形は「ポーチ」(1950円、いずれも税込)。和柄のデザインをポップなアイテムに落とし込んでいる。
サイドには「STAND SAGA」のロゴが入ったオリジナルパーカーがある。価格は3500円。地元スポーツチームのオフィシャルウェアみたいでカッコイイ。
ポーチの反対側に陳列されているのは「ニットキャップ」。パーカー同様オリジナルロゴが付いている。1200円はお値打ちといえよう。
ブラックモンブランのiPhoneケースも
佐賀は日本有数の磁器の産地だ。紙を使わない肥前吉田焼のセラミックコーヒーフィルター「カフェハット」(3780円)、「マグカップ」(2376円)、有田KIHARAの「豆皿」(1150円)などが並ぶ。
ご当地菓子「ブラックモンブラン」をデザインしたiPhoneケース(1200円)やパスケース(900円)などもあった。年末年始は人と交流する機会が多い。話のネタに使えるアイテムかも。和紙柄のiPhoneケースもある。
カウンターへ足を進める。2段のシェルフに展示されている商品は、スワンサイダー(150円)、サンボーの「焼豚ラーメン」(184円)、みかんジュース「さがみかん100」(100円)など。上から照明を当てているせいか高級品に見える。
フードメニューもあり。シシリアンライスは昼の12時から
メニューボード前にも商品が置いてある。白い長方形の物体はご当地スイーツ小城羊羹(おぎようかん)。値段は1個434円。その右横にあるのはイチゴの粒ジャム(432円)だ。
せっかくなのでフードを注文することにした。食べたかったのは佐賀市のご当地グルメ「シシリアンライス」(500円)だったが、12時以降の販売とワゴン車の前にいたスタッフから知らされる。
結局、ミンチ天バーガー(270円)とご当地ペットボトル「嬉野釜炒り茶」(154円)をオーダー。ミンチ天のほかは千切りのキャベツが少々入っているだけだが、朝食を食べて間もない筆者にはちょうどよかった。
STAND SAGAというだけあって座席はなく、店の前のスタンドで立食するか、持ち帰りになる。
厳選されたお茶やコーヒー、紅茶、ハーブティーも提供している。冷えた身体を温めたい人におすすめしたい。
地場産品にセレクトショップのセンスが加われば...
STAND SAGAの商品点数はドリンク・フードメニュー含めて50アイテム。それでもご当地商品とセレクトショップのコラボに大いなる可能性を見た思いだ。
地方へ旅行に行ったとき、売店等に置いてある工芸品を眺めて「普段使いにはちょっと......」と感じた人は少なくないだろう。デザインがイマドキでなかったり、ご当地を過度に強調していたり、はっきり言ってしまうと「オシャレじゃない」。職人の腕が確かなら、実にもったいない話だ。
その点セレクトショップは大型ショッピングモールにも多数出店していて、売れ筋商品のデザインや素材については熟知している。
地場産業とマーケティング・販売に長けた企業がコラボすることで新しい商品が生まれ、国内外の消費者に受け入れられる。地方の産業が活性化することで雇用を作り出し、人も定着する――。FACTORY SAGAの「FACTORY」には、そんな壮大なビジョンが含まれているのかもしれない。
有楽町駅前広場で営業するのは12月4日まで。5日からは約300メートル南にある「銀座ソニースクエア」に移動する。