大須にある「変な信号機」の謎を追う
信号機の仕様は全国どこでもだいたい一緒だ。ところが、名古屋市中区大須にはちょっと変わった形をした信号機がある。
江戸時代から門前町として栄える大須は、日本3大電気街、演芸場、コメ兵本店、矢場とん本店、古着屋、アニメ専門店――個性あふれる店が軒を連ねる。
この町は信号までユニーク。赤門通と裏門前町通の交差点には、車と歩行者用が一体化したタイプが設置されているのだ。
1本の支柱から延びるアーム。その先端に取り付けられた信号機は4方向を向いていて、車用が外側、歩行者用が内側に設置されている。まさに「空中に浮いた信号機」だ。
YouTubeでチェックする限り、車の運転手は、前方にある車用と歩行者用の信号機の色を、目線を動かすことなく確認できるようになっている。
名古屋 大須の信号機1(YouTubeより)
実は仙台にも...
ドライバーが交通事故を起こさないためには、スピードの出しすぎだけでなく、道路の両脇にいる歩行者の動きにも留意する必要がある。信号を過信するのは禁物だが、歩行者用の点灯状態が一目でわかるのは確かに便利。
もっとも、運転中の人は「なんだこれ!?」と見とれないよう注意しないといけないが。
一方で、歩行者からすると視認性はイマイチのような......。しかも歩行者用信号が別途あるわけではない模様。超クルマ社会の名古屋ならではと感じたのは、うがちすぎか。
それにしても、どうしてこんな信号機が登場したのだろう。
この信号が設置されたのは1975年。元々この交差点では事故が多かった。中日新聞(2013年7月24日付朝刊)によれば、近所の人々はしばしば、夜中に車が衝突する音で目が覚めたという。交差点脇の家には事故車が勢い余って突っ込むことも日常茶飯事だったというから、たまったものではない。
耐えかねた住民からの要望で、この交差点にも信号機を作ることになった。ところが、地下に水道管などが走っていた都合から通常の信号は設置できず。そこで、柱が一本で済むこの信号が作られたのだという。
このタイプの信号機は名古屋のみ存在するかと思いきや、仙台でも確認されている。
大須にあった珍しいといふこの信号機、仙台にも2つあった pic.twitter.com/J2b66dT7c5
— 浦加市 (@kswdn) 2014, 9月 9
ちなみに、製造しているのは大須と同じ名古屋電機工業。こんなところにも名古屋の文化侵略の手が......?