東の「ワイシャツ」、西の「カッター」...境界線調査は意外な結果に!?
シンガーソングライター平松愛理の「部屋とYシャツと私」は、今も歌い継がれる名曲として世に知られている。
神戸出身の彼女なら「部屋とカッターシャツと私」と歌ってもよさそうなものだが、Yシャツ(ワイシャツ)の方が伝わりやすく、また発音しやかったのかもしれない。
カッターシャツという名称は西日本で定着しているといわれるけれども、実際のところはどうなのか。
「ドレスシャツ」は2.4%の支持。英語圏ではこれが正しい言い方だが、一度定着した呼び方はなかなか変わらない。
地方別の傾向をみていくと、東北地方はワイシャツが100%の支持率。関東以西になるとカッターシャツの得票率が徐々に増え、東京と神奈川は20%を超える。
関西はカッターシャツの得票率がワイシャツをわずかに上回る。中・四国は4割弱で、ワイシャツ県とカッター県が混在する。九州も両名称が支持を2分している。
全体的には、愛知~石川あたりからカッター派が増える傾向にある。しかし、上述の通り西日本でもワイシャツ派が強い地域が点々と存在しており、単純に「西日本=カッター」とは言い切れないのが興味深い。
北海道では「カッター」と「ドレスシャツ」が同率
次に都道府県ごとの傾向を見てみる。
北海道は東北と似たような結果となったが、カッターシャツとドレスシャツも8.3%ずつ支持がある。
日本で繊維王国と呼ばれた場所はいくつかあるが、石川と福井も繊維王国と呼ばれた場所だった。両県ともカッターシャツの得票率が全国平均を上回り、とくに石川は過半数を占めた。
奈良の公立高校は公式サイトにカッターシャツ
カッターシャツという言葉は、スポーツ用品メーカー・ミズノの造語。本社のある大阪ではさすがにカッターシャツの支持率は高く、58.2%にのぼった。
関西でカッターシャツの得票率が最も高いのは「奈良」で77.8%。県立大宇陀高校の制服紹介ページを開くとカッターシャツが用いられている。得票率の高さに違わない浸透ぶりだ。
中国地方で総投票数が最大だった「山口」は、カッターシャツの得票率が同地方で最も高かった。
日本最大のアパレルチェーン・ユニクロの本社は山口市にあるが、同社のオンラインショップに「カッターシャツ」と入力しても何もヒットしない。
県によって傾向がバラバラな四国と九州
四国は東部の徳島と香川がワイシャツ派で、西部の愛媛と高知がカッターシャツという結果だった。
総投票数の最も多かった愛媛は、大阪と似たような得票率となっている。
票数がそう多くないので一概には言えないが、これまでの東西文化差が出る事例では、徳島など関西地方に近い東部が「西」寄りの傾向を示すことが多かった。それだけに、やや意外な結果かもしれない。
九州と沖縄はどうだったかというと、ワイシャツの得票率が50%超だったのは佐賀・鹿児島・沖縄。一方で福岡と宮崎はカッターシャツが50%を超えた。
長崎と大分はワイシャツとカッターシャツが50%ずつで、大分はワイシャツ・カッターシャツ・ドレスシャツが33.3%ずつだった。
九州でカッターシャツが1票も入らなかったのは「佐賀」のみ。ドレスシャツが25.0%の得票率だった。
Jタウン研究所ではほかにも、さまざまな地域差を調査している。ご興味を持たれた方は参照してほしい。
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