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「百貨店4店中3店が閉店」...和歌山市の厳しい商業事情

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.10.04 09:00
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関西地方の大都市ではここ数年、百貨店の開業や改装が相次いでいる。中でも2014年3月7日に開業した「あべのハルカス近鉄本店」は日本一の営業面積を誇る。府南部もイオンりんくう泉南やコストコ、りんくうプレミアム・アウトレットなどの商業施設が進出している。関西国際空港に近いこともあって、外国人観光客も訪れる。

その影響を受けているのが和歌山市だ。市内に4つあった百貨店のうち3つは撤退または自己破産。中心部の空洞化は目を覆うばかり(参照:消える高島屋とシャッター通り、そしてイオンモール...記者が見た和歌山市の今)。

地元の小売業も不況にあえぐ。和歌山県内最大手のスーパー・オークワ(和歌山市)は、2014年3~8月期の連結決算を9月29日に発表。最終損益が500万円の赤字だった(前年同期は2億2100万円の黒字)。

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オークワ(kouko0515さん撮影、Wikimedia Commonsより)

不採算10店舗の閉鎖等による特別損失、消費税増税+値上げラッシュなどによる買い控えが主な要因だが、3月16日に「イオンモール和歌山」が出現して競争が激化したことも無視できない。

イオンモール和歌山のショップストリート(写真は編集部撮影)

イオンモール和歌山のショップストリート(写真は編集部撮影)

18日から特急が最寄り駅に停車

同モールは南海電鉄・和歌山大学前駅に直結する。各駅停車、区間急行、急行の3種別が停車するものの、日中は1時間2本しか電車が停まらない。同モールの来店者のほとんどは車利用だが、改善を求める声が利用者から挙がっていた。

南海は10月18日にダイヤ改正を行い、「なんば」と和歌山市を結ぶ特急サザンが新たに停車、各駅停車も増発する。停車本数は平日が約1.7倍、土日祝日は約2.3倍、日中は1時間あたり2→6本にそれぞれ増える。
サザンは指定席車両4両と自由席車両4両が連結する8両編成で、自由席は乗車券だけで乗れる。

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南海特急「サザン」の自由席車(WikiTetsuさん撮影、Wikimedia Commonsより)

市内には近鉄百貨店和歌山店(店舗面積3万5596平方メートル)をはじめ、オークワパームシティ和歌山店(同3万675平方メートル)、イズミヤ和歌山店(同1万9273平方メートル)イズミヤスーパーセンター紀伊川辺店(同1万5130平方メートル)、ホームセンターコーナン和歌山中之島店(同1万2906平方メートル)、コメリパワー和歌山インター店(同1万2713平方メートル)などの大型店がひしめく。
下の地図は店舗面積が約1万平方メートル以上の商業施設の位置を示したもの。イズミヤスーパーセンター紀伊川辺店とコメリパワー和歌山インター店は地図の外に店舗がある。

和歌山市内の大型商業施設(編集部作成)

和歌山市内の大型商業施設(編集部作成)

これらのうち駅直結という条件を満たしているのは近鉄だけだが、商品価格帯の幅広さという点ではイオンモールの方が上。
最寄駅に停車する列車本数が増加し、車の運転をしない人の来客が促進されれば、モールはさらに賑わいそうだ。

食うか食われるかの小売店戦争

和歌山が地盤のオークワが減収減益なのは先に書いた通り。人口減少だけでなく、ディスカウントストアに消費者が流れているのも響いている。このままではじり貧は明らかだ。

そこで同社は不採算店舗を整理しつつ、食料品や衣料品、DIYグッズなどを扱うスーパーセンター型の店舗を増やしている。
さらに巨大市場の大阪や奈良、中部地方での出店を急ぎ、2013年10月には「東海食品センター」を稼働させた。進出先での商品供給をスムーズにする狙いがあるが、そこはイオンの地盤だ。

1970年代オークワは、イオン(当時のジャスコ)と提携してジャスコ・オークワを設立、大型店を展開していった。しかしその蜜月関係は2000年に解消され、イオン新宮店を除くとオークワがイオンの進出を阻んできたという歴史がある。

今回のイオンモール和歌山開業は、イオン陣営の反撃が本格化するのろしなのだろうか。

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