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昭和天皇遊んだ謎の「クロックノール」、彦根名物「カロム」に似ている説

Jタウンネット編集部

Jタウンネット編集部

2014.09.09 20:04
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このほど公開された『昭和天皇実録』の中に登場する、昭和天皇が幼いころ楽しんだという謎の遊び「クロックノール」が話題になっている。

毎日新聞ウェブ版の記事によれば、昭和天皇は学習院初等科前後にこの「クロックノール」に弟の秩父宮ともども熱中した記録が残っていたが、宮内庁が調査した限りでは、これがなんの遊びかはわからなかったという。

ネット上ではボードゲームの一種との見方

宮内庁の編纂担当者も解き明かせなかった謎の遊び――と思われた「クロックノール」だが、この記事が配信されて間もなく、ネット上では、これが「クロキノール(crokinole)」と呼ばれるボードゲームの一種ではないか、との指摘が出た。

クロキノール(Alessio Sbarbaroさん撮影、Wikimedia Commonsより)
クロキノール(Alessio Sbarbaroさん撮影、Wikimedia Commonsより)

このクロキノールとは、円形のボードを使った、カナダで19世紀に誕生した遊びだ。プレイヤーは互いに盤面中央のエリアを狙って、コイン状のコマを指で弾き入れる。高得点を獲得するには、自分のコマは上手くエリアに滑り込ませ、逆に相手のコマはエリアから弾き飛ばすことが必要となる。

日本にも明治~大正時代に伝わり、長野県などでもかなり流行した記録が残っているそうだ。最近では伊那市などで、「クロキノール」文化再興の動きがある。

世界的には、今でも国際大会が開かれるなど、定番のボードゲームとして知られている。

「それって、カロムのことじゃないの?」

さて、意外な発見で一件落着――と思いきや、「クロキノール」のルールを聞いた一部の人から、こんな声が上がり始めた。

「それって、カロムのことじゃないの?」
カロム(Pengさん撮影、Wikimedia Commonsより)
カロム(Pengさん撮影、Wikimedia Commonsより)

上の写真が、そのカロム(キャロム)だ。確かに似ている......。ルールも、ボード上でコマを弾いて、別のコマに当て合うなど、クロキノールと近いものがある。

こちらのカロムはインドなど西アジア方面発祥で、やはり日本には明治~大正ごろに伝わった。そして現在は、なぜか滋賀県の彦根市周辺でのみ盛んに遊ばれる、一種の「ご当地ゲーム」となっているそうだ。

このカロムは当時、「闘球盤」「トウキバン」などと呼ばれて親しまれた。クロキノールも同じくこの名で遊ばれており、両者は割合混同されていたようだ。

そもそも、盤面の片方に「カロム」、もう片方に「クロキノール」を配したボードも多く存在している。

ここからは仮説であるが、あるいは昭和天皇も、クロキノールともども、カロムを大いに楽しんだかもしれない。青年時代の昭和天皇の趣味はビリヤードだったが、カロムには「フィンガービリヤード」という異名があるなど、よくルールも似ている。「実録」でも、「クロックノール」と一緒に「ジャーマン・ビリヤード」の名が挙がっており、案外これがカロムの可能性もある。

だとすれば、彦根市民が愛する「カロム」は、「皇室御用達」の由緒正しい遊びなのかも......。