「日本人はなんでもパイにする...」 うなぎから餃子、納豆まで、各地の珍パイが集結中
「うなぎパイ」といえば日本人の多くが夜のお菓子と認識している浜松のお土産だが、全国には個性あふれるご当地パイが数多く存在する。
作家・脚本家・放送作家の藤井青銅さんは、そんなご当地パイを「ゆるパイ」と名付け、数年にわたり収集・分類研究してきた。
彼の集めた「ゆるパイ」が、東京・渋谷のヒカリエ8Fで展示されている。イベントのタイトルは「全国ゆるパイ展 47都道府県の愛すべきご当地パイたち」。入場は無料だ。
筆者は会場を駆け足で見学した。
さすがは宇都宮、餃子をパイにするとは...
パイの生地は小麦粉とバターから作られていて、普通は果実類や肉類、ナッツ類などを包むのが相場だ。ところが器用過ぎる日本人は、思わず笑っちゃう奇跡のコラボレーションを次々と編み出す。
例えば、栃木県のゾーンには「レモン牛乳パイ」「宇都宮餃子(ギョーザ)パイ」「とちおとめパイ」が展示されている。特産のイチゴを使うのは理解できるにしても、レモン牛乳や宇都宮餃子は「...なんで!?」といいたくなる組み合わせだ。
茨城で展示されているのは、地元民の執念というか、やっぱり...という印象の「納豆パイ」
。愛知は「手羽先パイ」「名古屋地どりコーチンパイ」「きしめんパイ」が展示。これらを手土産でもらった人はどんな感想を抱くのだろう......味にうるさい人で試してみたくなる。
日本人は郷土の味をパイにせずにはいられないのだろうか
日本の古都・奈良は名物や特産品がたくさんあるけれども、藤井さんがチョイスしたのは「大仏くんの思い出いっパイ」。ゆるきゃらの「せんとくん」を生み出した風土だけのことはある。販売元のウェブサイトによると、サクサク歯ごたえのあるパイにチョコレートをサンドしているそう。
どうやら日本人は、郷土を代表する味をパイにしないと気がすまない性分なのかもしれない。
秋田から選出されたのは「はたはたパイ」と「きりたんぽパイ」。実際に食しておらず、外観だけで書くのは恐縮極まりないけれども、何というか、和菓子の領域に達している感がある。
このほか、佐賀の「夢いっパイ」「むつごろうパイ 干潟あそび」、三重の「松坂牛パイ」「伊勢海老パイ」などが印象的だった。
ゆるパイ展は8月3日まで開催されているが、都合がつかなくて行けないという人もいるだろう。でも大丈夫。藤井さんの研究成果は「ゆるパイ図鑑」という書籍にまとめられ、2014年8月1日に扶桑社から発売される。
販売コーナーではこちらの本や一部のご当地パイも売っている。