幻の「手賀沼ディズニーランド」、知ってますか？

東京ディズニーランド。その名を知らない日本人は、まずいまい。2013年度の入園者は実に3129万8000人（東京ディズニーリゾート全体）で、あの北海道の2.4倍！

ところがそのディズニーランドを今から50年以上前、同じ千葉県内の我孫子市に作ろうとする「手賀沼ディズニーランド計画」があったことを、皆さんはご存じだろうか（知っている方がいたら、よほどディープなディズニーマニアか博識な方だろう）。

そもそも手賀沼って？

手賀沼は大正時代に作家の志賀直哉や武者小路実篤が湖畔に別荘を設けるほどの景勝地だったが、一方で干拓により沼面面積は約3分の1に縮小し、水田や住宅地に変貌してしまった。その一角に大型遊園地を造成する計画が持ち上がったのは1959年のことだった。

モザイク処理されている箇所には、アリスやミッキーマウス、バンビ、グーフィーの各キャラクターが描かれている（当時、掲載許可は得られていたのだろうか......）。

また、「釣り堀」に「ヘルスセンター（温泉）」なんて施設まであるのも気にかかる。濁った水面を前に練り餌を針に取り付ける某キャラ、あるいは一仕事終え、温泉から出てフルーツ牛乳をぐい飲みし、マッサージ椅子で「あ゛～」と低い声を漏らす某キャラ。

時代が時代とはいえ、そんなのディズニーランドじゃない、気がする。

もしかしたら「沼南」が「湘南」だったかも

事業計画書には「ロサンゼルス郊外のディズニーランドの規模で進める」と書かれていたが、ディズニー側とどこまで話をしていたのだろうか......。

1962年には土地の買収や埋め立て工事が着手されるも、手賀沼の汚染と開発会社の財務状態悪化という理由で数年後に計画中止となった。この転用については国会でも追及があり、時の佐藤栄作首相や福田赳夫蔵相（のち首相）も答弁に駆り出されている。その後は住宅地に転用されたようだ。

ところで、敷地の一部には2005年に柏市に編入され消滅した沼南（しょうなん）町も含まれていた。もし手賀沼ディズニーランドが実現していたら、神奈川県の湘南に勝るとも劣らない、日本中が憧れるリゾート地になっていたかもしれない。