都民のビール生命は茨城県に握られている
若者と中心にビール離れが進んでいるとはいえ、「とりあえずビール」という言葉は今でも健在だ。ビールの生産量は約280万キロリットル(国税庁調べ)で、日本は世界7位に入っている。
国内でビールの生産が最も盛んな都道府県はどこか。日本の麦の生産量の約半分を占め、4大メーカーの1つサッポロビールの本拠地がある北海道と思う人も多いだろう。ところが北海道の生産量は年間約10.9万キロリットルにすぎず9位にとどまっている。
アメリカ人に愛される地ビールメーカーも
東京・銀座にあるアンテナショップ「茨城マルシェ」。1Fのセレクトショップフロアには県内で生産されている地ビールが並んでいるが、ビールコーナーでひときわ目立っているのが木内酒造(那珂市)の「常陸野ネストビール」だ。
同社がビールの製造に着手したのは1996年。地ビール会社としては日本有数の規模を誇り年間400万本を生産しているが、その半分以上が海外20カ国以上に輸出されている。茨城県中小企業家同友会のウェブサイトによると、日本からアメリカへのアルコール全体の輸出額のうち、15%のシェアをサントリーと争っている。
海外のビールコンテストで数々の賞を受賞し、高い評価を受けている常陸野ネストビールは、ニューヨークのビール専門店や高級レストラン、街角のスーパーにも置かれているという。
考えてみればビールも納豆も発酵食品。茨城の風土がそれらの製造に向いている――といえるかどうかは不明だが、おいしいものの一大産地であることは間違いないようだ。