横浜DeNAベイスターズのアイデア集がいろいろ面白い
「万年最下位」と揶揄されてきた横浜DeNAベイスターズだが、2013年シーズンは6年ぶりにセ・リーグ最下位を脱出して5位になった。
改善されたのは成績だけではなく、観客動員数は前年比で22%もアップした。
チームは昨年、占い師による鑑定サービスが付いた「女子シート(じょしーと)」や、三浦大輔選手モデルのグローブが付いた「セブン-イレブン エキサイティング・シート」など、球場での観戦を促すようなユニークな企画を次々と実施。「100 万円チケット」はスポーツニュースでも大きく取り上げられ、球場前を一般開放した「ハマスタBAY ビアガーデン」はチケットを持っていない人も楽しめるイベントとして話題を呼んだ。
IT企業のノリがチーム改革を促した!?
運営母体がTBSからディー・エヌ・エー(DeNA)に代わった2012年は、斬新すぎる取り組みを冷ややかに見る向きもあったが、明らかにイメージは良い方向に変わり、そして着実に成果をあげている。
実はその年の末、球団は「次の野球」をテーマに、職員と選手全員からアイデアを募り、600を超える提案を集めていた。プロ野球チームという組織の中に、IT企業ならではの前例にとらわれない文化が吹きこまれたということか。
一例をあげると、「ファンがボタンを押して年棒を決める」。名前は明らかにされていないが、これを発案したのは選手だった。各選手の年俸はファンにとって格好の議論のタネだが、そうした心理をうまく汲み取っている。
球団広報グループからは、日本の伝統的な観客席「桝席(ますせき)」に見立てたシートも提案された。あぐらをかきながら野球観戦は、ありそうでなかった発想だ。
また、育成グループから提案されたという選手による「布団たたき屋」。プロのスイングで叩かれた布団、一度は寝てみたいかもしれない。
これらのアイデアは、2014年3月20日に発売される球団初のビジネスアイデア書「次の野球」(ポプラ社刊、1300円(税抜))で読むことができる。
2014年1月に全職員・選手のためだけに300部のみ制作されたものだったが、シーズン開幕を直前に控え市販されることになった。
巻末には、「ほぼ日刊イトイ新聞」の協力のもと、中畑清監督と糸井重里さんによる「次の野球」をテーマにした特別対談も掲載されている。