旭山動物園、ゆるキャラ「出禁」の明確な理由
旭川市の旭山動物園が、地元ゆるキャラを「入場禁止」にしているという話題が北海道新聞の一面を飾った。
記事は「残念がる声も」とゆるキャラ側に同情的なスタンスだが、「動物を擬人化しない」「動物が驚く」という園の主張は明確だ。
地元紙は「いいじゃないか」と言うが
「旭山 あさっぴーお断り」
「『動物驚く』 グッズ販売も駄目」
2014年1月8日、北海道新聞の夕刊に掲載された見出しだ。
あさっぴーは、旭川市が2010年以来使用しているシンボルキャラクターで、市の名所や名物をモチーフにしている。市を代表する人気施設・旭山動物園からも、ゴマフアザラシやホッキョクグマの要素が盛り込まれた。
ところが園では、あさっぴーの出入りを認めず、また売店でのグッズ販売などもあえて行っていないという。
市からは旭山動物園に続く「新たな顔」として期待され、市民からの人気も上々なだけに、北海道新聞では「あさっぴーの登場機会がないことも残念がる声もある」、また2013年12月3日付朝刊のコラムでも、
「国内外から年間150万人を数える旭山動物園の来場者にアピールしないのはもったいないと声を大にして言いたい。観光戦略や経済効果と言った視点でも語れるが、何より、かわいいあさっぴーを自慢したいんだもん」
と、繰り返しゆるキャラの入場許可を求めている。
かわいいんだからいいじゃないか、という北海道新聞の主張に対し、旭山動物園の反論は明確だ。
1つは、「動物が驚く」。記事によれば、係員が試験的に動物の前に着ぐるみ姿で立ったところ、動物が驚いた反応を見せた。そのため、あさっぴーに限らず着ぐるみ姿での入場を、園では認めていない。
動物の「誕生日」なども祝わない
もう1つ大きな理由は、園が動物の本来の姿を見せる「行動展示」のコンセプトを掲げ、動物を人間のように扱うことを、厳しく否定しているためだ。
園のウェブサイトには、「もっと知って! 旭山動物園のこだわりと動物園の動物のこと」と題したこんな一文がある。
「野生動物に服を着せたり、誕生日にケーキを与えたり、葬式をしたり、芸を教え込んで人間のように振る舞わせることはしません。(中略)旭山動物園を観て頂いた皆様には、野生動物のかわいさの先に、その動物らしさ、美しさ、すばらしさ、尊さを感じ、『ちょっと離れていたら別にいても構わないな』、『残したい!』という気持ちを感じてもらえたらうれしいです」
こうした理念からすれば、動物をキャラクター化したあさっぴーの入場は確かに難しいそうだ。ネット上でもその「ガンコさ」には賛否両論の声があるが、
「私は旭山動物園の一貫した主張に賛成。そういう動物園だから旭川市民として気に入っている」
「そりゃそうだ。旭山動物園でも円山動物園でも、動物の「擬人化」を避けていて、記事の動物の写真に吹き出しをつけて、動物が喋ってるような表現も禁止。動物を動物として観るという姿勢は正しいし、貫くべきだと思うけどなぁ」
といったツイートも少なくない。