「とん汁」に「味噌ラーメン」をプラス! ありそうでなかった温まる新潟の味
「秘密のケンミンshow」(日本テレビ系)が2013年10月17日(木)の放送で取り上げたのは、新潟県妙高市を中心とする地域で親しまれている「とん汁ラーメン」だった。
農作業中の女性は「有名だよ、ここらじゃ。何十年も食べているよ」とその魅力を説明していた。「冬は寒いから、これを食べると体も温まる」という中年女性もいた。
スタッフが訪れた市内の食堂「たちばな」で、店主が作り方を披露した。ドンブリに赤味噌を入れ、豚骨と鶏がらでとったスープを注いで、中華麺を投入する。
このままでは普通の味噌ラーメンになってしまうところ、ラーメンの上に白味噌仕立ての豚汁をかけてしまった! いわば汁物に汁物をかけた強引なコラボだ。
味のポイントは超大量の玉ねぎ。店主いわく「玉ねぎから水分を引き出して、スープを作り出す」という。カットした大きめの木綿豆腐を敷き詰めて煮込むこと20分。玉ねぎエキスたっぷりのスープが完成した。大根や人参は一切入れない。
とん汁ラーメンを食べる客が使っているのは、コショウではなく七味唐辛子。豚汁なのかラーメンなのか、どっちつかずにも思えるが、お客の反応はそうではない。
「普通豚汁は脂ギトギトじゃないですか。でもとん汁ラーメンはサラリといけます」 「味噌ラーメンと違って玉ねぎが多いので、野菜の甘みが強いですね」 「豚の甘みが溶け出して、さらに豆腐が調和してまろやかです」
なぜとん汁ラーメンが食べられるようになったのか。上越調理師協会の中原久雄理事は次のように語った。
「そもそもこの寒い上越地方は、昔から豚汁文化というのが根付いています。豚肉の脂がスープの表面を覆い、とても冷めにくい。そんなこともあって豚汁を扱う飲食店が非常に多いんですね」
約30年前に妙高市内のラーメン店「松茶屋」が、この地方で親しまれている豚汁をラーメンと合わせたのが始まりなのだそう。VTR終了後の試食会では、出演者は異口同音に大絶賛。
「これから豚汁作って大量に余ったときは、中華麺を入れればいいんですよね」と語った福岡出身のカンニング武山をはじめ、気づきそうで気づかない新潟発のコラボラーメンに感心していた様子だった。寒い季節には家庭でも楽しめるアイデアではないだろうか。