新品エアコン高騰で注目集める「中古」、猛暑と省エネ基準で問われる買い替えの判断軸
猛暑の長期化や物価高を背景に、家庭用エアコンの買い替え判断が難しくなっている。さらに2027年4月からは家庭用エアコンの新たな省エネ基準が適用される予定で、購入時には本体価格だけでなく、省エネ性能や設置費用、保証まで含めた比較が求められる。こうしたなか、中古エアコンを選択肢に入れる動きも出ている。出張買取MAXと中古家電専門店リサイクルショップアイスタを展開する株式会社アイスタの穐山泰郎氏に、中古家電市場の変化について聞いた。
新品高騰で広がる中古家電市場の現実
家電購入をめぐる消費者の判断軸が変わりつつある。物価高が続くなか、新生活や転勤、買い替えの場面で、新品だけでなく中古家電を検討する層が広がっている。特にエアコンは本体価格に加えて設置工事費も必要になるため、初期費用をどう抑えるかが購入時の大きな論点になりやすい。
株式会社アイスタは、出張買取サービス「出張買取MAX」と中古家電専門店「リサイクルショップアイスタ」を展開している。同社の説明によれば、家電や家具を中心に買い取った商品を自社で点検・整備・クリーニングし、再販売する流れを構築しているという。代表取締役の穐山泰郎氏は「物価高の影響から、中古家電セットや中古エアコンへの問い合わせが増えている」と話す。学生や新社会人、単身赴任者、賃貸住宅の居住者など、一定期間使えればよいと考える層にとって、価格を抑えた選択肢への関心は高まりやすい。
ただし、中古家電市場の拡大は、価格の安さだけで成立するものではない。とりわけエアコンは設置工事や冷媒配管、電気工事の確認を伴う製品であり、販売後のサポート体制が十分でなければ、消費者不安は残り続ける。
2027年省エネ基準で買い替え意識は変わるか
家庭用エアコンをめぐっては、2027年4月から新たな省エネ基準が適用される予定である。資源エネルギー庁は、基準引き上げを前に今すぐ買い替える必要はないとしつつ、購入時には本体価格だけでなく、省エネ性能による光熱費削減効果なども総合的に考慮することが重要だとしている。
こうした制度変更は、生活者の買い替え意識にも影響を与えている。穐山氏によると、現場では10年以上使用しているエアコンについて「故障する前に交換したい」「新品は高いため費用を抑えたい」といった相談が増えているという。エアコンは気温が上がる時期に不調が表面化しやすい。冷房の効きが悪い、運転中に異音がする、水漏れがある、電源が入りにくい、使用開始から10年以上経過しているといった症状は、点検や買い替え検討の目安になるとされる。
もっとも、省エネ基準の変更を過度にあおる形で買い替えを促すことには注意が必要である。購入判断では、使用年数や故障状況、電気代、設置環境、修理可能性を含めて比較する必要がある。中古エアコンも選択肢の一つだが、すべての家庭に一律で適しているわけではない。

中古エアコン普及の壁は「保証」と「施工」
中古エアコンへの関心が高まる一方で、消費者が抱きやすい不安は明確である。「すぐ壊れないか」「保証はあるのか」「設置後に不具合が出たら誰が対応するのか」といった点だ。
アイスタでは「アイスタおまかせエアコン」として、自社で買取・点検・整備・クリーニングした中古エアコンを販売している。同社の説明では、設置工事・送料込みで49,500円(税込)から提供しているという。また、対象商品には最大3年保証を設け、学生証の提示で4年保証へ延長するサービスも実施している。穐山氏は「以前は中古エアコンに不安を持つ人も多かったが、最近は価格だけでなく保証やサポート体制を重視する傾向が強まっている」と話す。中古家電が選ばれるには、販売前の動作確認やクリーニングだけでなく、設置後の対応まで含めた仕組みが必要になる。
一方で、長期保証や施工対応をどこまで広域で維持できるかは事業者側の課題である。現在、同社の3年保証の対象エリアは自社対応が可能な一部地域に限られるという。全国展開を進める場合、加盟店や協力業者との施工品質の標準化が問われることになる。
家電リユースは資源循環の受け皿になるか
中古エアコンの広がりは、家計防衛だけでなく資源循環の観点からも意味を持つ。経済産業省によると、家電リサイクル法はエアコン、テレビ、冷蔵庫・冷凍庫、洗濯機・衣類乾燥機などから有用な部品や材料をリサイクルし、廃棄物の減量と資源の有効利用を進めるための制度である。
一方で、まだ使える家電を廃棄ではなく再使用に回すリユースは、リサイクルとは異なる循環の選択肢となる。買い替えや引っ越し、遺品整理、生前整理の場面で発生する家電をどのように再流通させるかは、今後のリユース市場にとって重要なテーマである。穐山氏によると、同社の買取事業では高齢化やライフスタイルの変化を背景に、遺品整理や生前整理に伴う相談も増えているという。単なる買取価格の提示だけでなく、何から片付ければよいかわからないという相談に対応する場面もあると話す。
ただし、リユース家電の普及には、消費者が安心して選べる情報開示が欠かせない。年式、整備状況、保証範囲、設置工事の条件が分かりにくければ、中古品への不安は解消されにくい。中古エアコンが市場に定着するかは、価格の安さではなく、品質管理とアフターサポートをどこまで可視化できるかにかかっている。

【取材協力】
株式会社アイスタ
代表取締役 穐山泰郎氏
出張買取MAX
https://www.kaden-max.com/
中古家電専門店 リサイクルショップアイスタ
https://www.recycleshop-aisuta.com