雪の坂道で渋滞を引き起こした私。後ろの車からイカツイ男が降りてきて、私の車を...(神奈川県・40代男性)
後ろの車から降りてきた見知らぬ男性は、何を言うこともなく......。
神奈川県在住の40代男性・Nさんが、忘れられない姿。
<Nさんからのおたより>
あれは、私が運転免許を取りたてだった頃ですから、今から30年ほど前の話になります。
ある日、友人の家に遊びに行き、日が暮れて帰る頃には、関東では珍しく雪が積もっていました。
雪道を運転することの危険性など、当時の私にはまったく分かっていませんでした。運転免許を取ったばかりで、経験も知識も足りなかった私は、「何とかなるだろう」と安易に考え、そのまま一人で車に乗り、帰路につきました。
後続車から降りてきたのは...
ところが、途中の坂道で事態は一変します。雪にタイヤを取られ、アクセルを踏んでも車は前に進みません。どうすることもできず、坂道の途中で立ち往生してしまったのです。
後続車が次々と連なり、私は知らず知らずのうちに渋滞を引き起こしていました。周囲に迷惑をかけていることは分かっていても、どうすればよいのか分からず、ただ途方に暮れるばかりでした。
そんなとき、後ろに停まっていた車から、一人の男性が降りてきました。
見た目はいかつく、近寄りがたい雰囲気の男性でした。突然こちらに向かって歩いてくる姿を見て、私は思わず恐怖を覚えました。「渋滞を起こしていることを怒られるのではないか」「何か文句を言われるのではないか」。そんなことが頭をよぎり、身構えてしまったのを覚えています。
しかし、男性は私に何も言いませんでした。
ただ黙って車の後ろに回り、力いっぱい車を押してくれたのです。おかげで、私の車は何とか坂道を越えることができました。
私は慌てて車から降り、お礼を伝えようとしました。
すると、その男性は一言、「礼はいいから、さっさと行け」と言いました。
そして何事もなかったかのように、自分の車へと戻っていきました。
名前も、どこから来た人なのかも分かりません。結局、きちんとお礼を伝えることもできませんでした。
けれど、あのときの男性の姿は、30年近くたった今でも、私の記憶にはっきりと残っています。
見返りを求めず、困っている人を黙って助け、礼を言われることさえ求めない。その背中には、私がそれまで出会ったことのない、本当の男らしさがありました。
あの雪道で私を助けてくださった男性へ。
どこの誰なのか、今も分かりません。もしかしたら、この文章が届くこともないかもしれません。
それでも、30年という長い時間がたった今、改めて伝えさせてください。
あのとき、助けていただいたことを、私は今でも忘れていません。本当に、ありがとうございました。
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