あの世とこの世の境まで、300メートル 島根・出雲に掲げられた看板にSNS驚がく「黄泉ってそんなに近かったんだ」
イザナキとイザナミ、永遠の別れ
「黄泉比良坂」については、「古事記」にどのように記されているか、知っておく方が良いかもしれない。
日本の神話は、天の高天原の神々が、イザナキ神とイザナミ神の男女二神に、国づくりを任せたことから始まる。イザナキとイザナミという男女二神が主役となる、「国生み」ストーリーが展開されるのだ。
天の沼矛(ぬほこ)を授けられたイザナキとイザナミは、天の浮橋という空に浮かんだ橋に立ち、沼矛を下ろしてかきまわし、引き上げると、その矛からしたたり落ちた潮が島になった。その後、紆余曲折を経て、やがて淡路島、四国、隠岐、九州、壱岐、対馬、佐渡と生み、ついに本州を生む。この八つの島が、大八島国と呼ばれる。
国を生み終えたイザナキとイザナミは、さらに石の神、土の神、海の神、風の神、山の神、穀物の神と、さまざまな神々を生むが、火の神を生んだことが原因で、イザナミは命を落とす。黄泉の国へと旅立ってしまった。
そこから先は、島根県観光連盟のサイト「しまね観光ナビ」に、次のように解説されている。
「イザナギ命が先立った最愛の妻イザナミ命を慕い、黄泉比良坂を通って黄泉の国を訪ねて行きます。ところが変わり果てたイザナミ命の姿に驚いたイザナギ命は、黄泉の軍勢を振り切り、命からがら現世に戻ってきます。その時イザナギ命が黄泉の国への入り口をふさいだのが、千引の岩(ちびきのいわ)であるとされています」(「しまね観光ナビ」より引用)
大きな岩で、行く手をふさがれたイザナミは、「あなたがこんなことをするなら、この世の人間を1日で1000人殺してやる!」と言い放つ。イザナギは「それなら私は、1日に1500人生もう」と返したと、「古事記」には記されている。
その後、イザナキが水辺で身を清めるための禊(みそぎ)を行うと、生まれてきたのがアマテラスとツクヨミ、そしてスサノオだったという。
「黄泉比良坂」に立ち、黄泉の国に残ったイザナミと、「国生み」の完成を目指すイザナギ......。日本神話の壮大なドラマに想いを馳せる旅はいかがだろう。