「そんなもん無いぞ」すがるように尋ねたのに無情の答え そして男は私を手招きして(大阪府・60代男性)
高校時代の自転車旅で道に迷い、おなかが空いて動けない。
コンビニなど周りにはなく、食べ物も買えない。
声をかけてきた男性が「ついてこい」。その後、どうなったのか。
――大阪府在住の60代男性・Oさんの思い出。
<Oさんからのおたより>
私が高校3年の時、友達と2人で福井県の今庄まで自転車で行った時のことです。
1日で滋賀県・国境まで行けたことで、2日目は福井・敦賀から一気に今庄を目指しました。
海沿いを走るのではなく、地図を頼りに山越えをしたのですが、どこかで道に迷い込んでしまったのです。
真夏の日差しと空腹で、道路わきの民家の軒先で、ホントにへたり込みました。
そこへ鍬を持ったおじいさんが「どうした?」と声をかけてくれました。
「暑さと、腹が減って...。この辺にパン屋か食堂かスーパーなんてないですか?」
「そんなもん無いぞ」
大阪ではあたりまえにある、それが無い。初めて気づきました。
時がたって悔やまれてならない
まだ先は長い、一旦敦賀へ戻るか。迷うところです。
するとおじいいさんが「ついて来い」と手招きをし、その家の中へ入って行ったのです。「あがれ」「そこに座れ」と言われ、小さな食卓の横に座りました。
「ちょっと待っとれ」
おじいさんが奥から持ってきたのはお釜、茶碗、佃煮、漬物、お茶。
「食へ」
「今日は何もないが、ええだけ食っていけ」
私は「ありがとうございました」。その言葉だけを残して立ち去りました。
時がたってそのことが悔やまれてなりません。
もっとちゃんとしたお礼ができたのでは?
風景が変わってしまって
30歳近くになってバイクに乗り出したのをきっかけに、その場所を目指しましたが、風景が変わってしまって分かりませんでした。
今になって思うことは、若い人が旅で困っているなら、なにか手助けしたい。
それがおじいさんへのお礼にならないか?
そんな風に考えています。
あなたの「やさしい思い出」、聞かせて!
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