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広島の街を「巨大段ボール箱」が走る! ユニークすぎる路面電車に反響→その狙いとは

松葉 純一

松葉 純一

2023.05.18 08:00
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日本某所で、「段ボールの電車」が走っているらしい。

2023年4月27日に投稿され、話題になったツイートをまずは読者にもご覧いただこう。

路面電車だが、確かにその外装はダンボールのよう。上下には中芯の"なみなみ"が見えるし、一部表面がはがれているらしい部分もある。

先頭に表示されている行先は「西広島」。これは、G7サミットの開催地として今ホットな街・広島市を走る広島電鉄だ。

「やおよろずの趣味」(@VK45_01P)さんによるこのツイートには、2万2000件を超える「いいね」(5月17日現在)のほか、こんな声が寄せられている。

「かわいい!!かっこいい!!」
「めっちゃ良い」
「ちゃんと段ボールの端面が見えてて可愛いw」
「ダンボール戦車...じゃなくて電車」

「水濡れ防止」のマークまで描かれているからか、「雨の日は運行休止なのかな?」という質問もあった。

しかし、安心してください、「ラッピング広告」ですよ。

「すごくリアルな段ボール模様のラッピングシールを貼ってるだけですので、お天気関係なく走りますよ~」と投稿者「やおよろずの趣味」さんはつぶやいている。

Jタウンネット記者はこの「段ボール電車」について、投稿者「やおよろずの趣味」さんと、広告主に取材することにした。

「その手があったか!」

段ボール電車の広告主は、広島市内の段ボールメーカー・桐原容器工業所。1年以上前から、広電宮島線の広島駅~広電宮島口の区間で走っているという。

「やおよろずの趣味」(@VK45_01P)さんのツイートより
「やおよろずの趣味」(@VK45_01P)さんのツイートより

投稿者「やおよろずの趣味」さんは、4月27日、広島電鉄の十日市町停留所でその姿を捉えた。趣味で路面電車を撮影していたところ、たまたまやってきたのだという。

「遠目に見えた時は『初めて見る色の電車だな』という程度だったのですが、近づいてきて段ボール柄であること、段ボールメーカーの広告であることが分かった時には『その手があったか!』と感心しました。というのも、広告電車は企業のロゴなどがほとんどなので、電車自体を何かに見立てるケースは斬新だと感じたからです」(「やおよろずの趣味」さん)
「やおよろずの趣味」(@VK45_01P)さんのツイートより
「やおよろずの趣味」(@VK45_01P)さんのツイートより

桐原容器工業所は何故、「段ボールのラッピング広告電車」というユニークな手段を取ったのか。その狙いとは、いったい何か?

 

Jタウンネット記者の取材に、同社代表取締役社長の桐原真一郎さんが答えた。

「まずは知名度を上げるために」

「段ボール業界ではコロナによる宅配の増加や加工食品の消費拡大などで、売上げが減少しなかった同業者も多い中で、自動車産業向けの売上げが8割を超える我が社は、大きく売上げを落とした段ボールメーカーでした」(桐原真一郎社長)

新型コロナウイルスによる感染症の流行初期、2020年春から夏にかけて、同社の単月売り上げは前年同期比で、なんと7割も減少。そんな状況下で同社が目指したのが、自動車産業以外の幅広い層の顧客獲得だった。

「自動車以外の幅広いお客様を獲得したいと考え、まずは知名度を上げるためにラッピング電車による広告をいたしました」(桐原真一郎社長)
桐原容器工業所YouTube動画「広島の街を段ボール電車が走る!」より
桐原容器工業所YouTube動画「広島の街を段ボール電車が走る!」より

狙ったのは「広島宮島線で最近見かける『なんかよくわかんないヤツ』」になること。「地味なのが最大の特色かもしれません」と桐原社長は語る。

デザインにあたって特にこだわったのは、路面電車がそのまま段ボールケースに見えるようにすることだった。段ボールの段目がうっすらと見え、紙の色が再現され、光沢がなく、マットな仕上げ。そして、広告であるにもかかわらず、会社の名前と宣伝文句は極力小さくしたという。

桐原容器工業所YouTube動画「広島の街を段ボール電車が走る!」より
桐原容器工業所YouTube動画「広島の街を段ボール電車が走る!」より

では「段ボールラッピング電車」という広告で、伝えたいことはなんなのか。記者の質問に、桐原社長は次のように述べた。

「何よりも『段ボールという素材に親近感を持ってほしい』ということです。
段ボールは工業製品ですが、どこかオーガニックで地球環境にやさしい優れた素材です。段ボールの温かさを伝えたいと思いました」

ラッピング広告の契約期間は、「とりあえず今年いっぱい」。2024年以降も継続するかどうかは現時点では未定とのこと。

「広告という点ではもう十分役目を果たしてくれたと思うので、あとはまた黙って走ってくれれば良いと思っています」(桐原真一郎社長)

広島県内ではG7サミットの開催を記念して、様々な応援商品が登場したり、関連イベントが開催されたりしている。この機会に「段ボール電車」も見に行ってみては?

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